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東京都千代田区、内閣府(撮影・今福寛子)
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 今春以降、この人の顔をテレビで目にする機会が格段に増えた。政府の新型コロナウイルス感染症対策を担う西村康稔経済再生担当相(57)。緊急事態宣言は5月に解除されたが、東京では7月に入ってから毎日のように3桁の感染者が報告され、第2波の懸念が高まっている。しかし、政府は今月10日から経済活動の制限をさらに緩和しており、以前とはコロナウイルスへの対応が異なる印象だ。政府の担当者として、第1波の経験をどう受け止めているのか。これから、どのような考えで対策を講じようとしているのか。詳しく聞いてみた。(永見将人)

 -そもそも、なぜ経済再生担当相がコロナ対策の担当になったのですか。

 「短期間での対応を期待されたのと、防災の副大臣や官房副長官として危機管理対応の経験があるということで指名されたと思ってます。就任前日の3月5日に(安倍晋三)総理から電話があり、『特別措置法を改正してコロナを対象にする。対応してくれ』と。審議まで数日しかなかったが、総理には『週末によく勉強してください』と言われました」

 「命を守る責任と、経済や暮らしを守る責任。バランスが本当に難しく腐心してます。7月に入って、こうやって東京で増えてくると『もっと厳しい措置を』という意見も多く頂くし、『二度と緊急事態宣言は出さないで』という声もものすごく聞こえてくる」

 -これまでの対応で、特に判断に悩んだ局面は?

 「やはり緊急事態宣言をどのタイミングで出すか、ですね。体重が2・5キロ、減りました。連日の(専門家会議副座長だった)尾身(茂)先生らとやりとりで、皆さんの危機感や医療体制の逼迫(ひっぱく)感がひしひし伝わってきた。それを総理にしっかり伝えなきゃいけない。私は早い段階から、爆発的な感染拡大にならないために、兆しがあれば宣言を出しましょうと言ってきた。結果的に適切なタイミングだったと思っています」

 -反省点もお聞きしたい。

 「ほぼ毎日、会見をやってきましたが、伝え方が十分でなかったことが多々あったと反省してます。(『上から目線』と批判された)『気の緩み』という発言や、最近では専門家会議の『廃止』。強く言い過ぎました。語気を荒らげることもあるが、正しいと思うことをしっかり伝えなければと思っているからで、憎まれ役が私の役割だと思っています。最近は尾身先生と一緒に会見するなど、ちょっと工夫をしています」

 -政府全体としても「アベノマスク」の配布や不透明な事務委託などで多くの批判を浴びています。

 「そうですね。結果として、税金を無駄遣いしているような印象を与えてしまいました。丁寧に説明し、理解を求めていかないといけない。全体に、スピード感が遅かったのも反省点です。雇用調整助成金のオンライン申請は2度にわたって停止した。政府のシステムのデジタル化を進めなければいけない。私も政治家になる前に役所勤めを十数年経験したが、官僚は緊急時の仕組みに切り替わりにくい。平時の審査では当然、時間がかかる。性善説に立って給付し、不正があれば後から徹底的に追及するという姿勢への転換が大事だと痛感しました。途中から、関係省庁に『私が責任を取るから』と、かなり促したのですが」

 -大阪や東京の知事との摩擦も報じられました。国と地方の関係はどうあるべきなのでしょう。

 「今回の特措法は使ったことがないものですから、みんな分からないわけです。東京の小池(百合子)知事は『ロックダウン(都市封鎖)』という言葉を使い、ホームセンターのような必需品を扱う店にも幅広く休業要請すると言ってきた。それは法律的にできない。やりとりに苦労しました」

 「法律の体系でいえば、国が大きな方向を示し、それに基づいて知事が対応する。結果として、この枠組みで成果を上げたと思う。知事会とはテレビ会議を12回、そのほか毎日のようにいろんな知事と電話で調整してきました。もちろん、国と地方の関係は常にいろいろ論点があるので、状況が落ち着いた時点で議論していけばいい」

 -東京では連日、3桁の感染者が出ていますが、政府は社会活動の拡大を維持する方針です。第1波を経験してどう方針転換したのか、国民に分かりにくいのでは?

 「ワクチンができていないわけですし、感染者をゼロにはできない。北九州市では20人以上の数字が出たが、症状の有無にかかわらず濃厚接触者にPCR検査を実施した結果、ほぼゼロになった。濃厚接触者を追い掛けていけば、小さな波は抑え込めるという経験をわれわれは積んでいます。検査の戦略的な拡大が肝。リスクの高いところの検査をやり、二次感染を防ぐ。これを地道に積み重ねるだけです」

 「東京では今、感染経路を追えないケースが半分近くあるので危機感を持っています。ただ、その後の調査によって経路不明は減っている。今は、見えないクラスターがあるか、市中感染がどこまで広がっているか、分析を急いでいます」

 -緊急事態宣言の再指定については、これまで判断材料としていた数値基準にとらわれず、医療体制が逼迫しなければ宣言を出さない。そう理解していいのですか。

 「そうです。専門家の皆さんによると、数字が基準以上に増えても医療体制に余裕があれば問題ない。一方で感染者が少なくても、医療体制が逼迫すれば早めに出したほうがいい。今は7、8割が30代以下で重症化のリスクは少ないですから。医療体制さえしっかりしていれば、ある程度の人数は許容できる」

 -コロナ禍以後の新しい社会像についてうかがいます。地方、例えば地元の兵庫県の今後についてどう展望しますか。

 「東京23区では6割近い人がテレワークを経験し、やればできると分かった。若い人を中心に多くの人が地方に関心を持ってます。淡路や但馬へ来てもらえば、感染リスクは少ないし、空き家もいっぱいある。自然の中で子どもを育てることもできる。PRのチャンスです。地方移住や空き家の活用の支援策を拡充しながら、兵庫県の魅力を発信していきたい。神戸では女性の就業率が低いですよね。この機会に女性の就業率を上げていくことが出生率アップや社会全体の活力につながる。兵庫や神戸からこうした動きが広がるよう、後押ししていきたい」

 -知名度が上がり、首相候補にも名前が挙がっています。

 「貴重な経験をさせてもらったと思っている。今回の経験や、官房副長官として総理、官房長官を支えた経験は財産として将来の国づくりのために生かしていきたい。それ以上は申し上げません。とにかく今はコロナの二つ目の波が大きくならないよう、経済を回復軌道に乗せるよう、全力を挙げたいと思っています」

 文中の感染の状況分析などは、今月7日時点です。

【にしむら・やすとし】1962年生まれ。明石市出身。自民・衆院兵庫9区。通産省(現・経済産業省)勤務を経て2003年初当選。昨年9月、経済再生担当相、全世代型社会保障改革担当相として初入閣。

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