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園内で最も食費のかかるコアラ。1日1回の食事時間以外は眠って過ごしているという=神戸市灘区王子町3、王子動物園
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園内で最も食費のかかるコアラ。1日1回の食事時間以外は眠って過ごしているという=神戸市灘区王子町3、王子動物園
神戸市内にあるユーカリ園。約2300本植わっているが、コアラが食べるのは新芽部分のみ=神戸市西区
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神戸市内にあるユーカリ園。約2300本植わっているが、コアラが食べるのは新芽部分のみ=神戸市西区
神戸新聞NEXT
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 約130種類の動物が飼育される王子動物園(神戸市灘区)の中で、最も「食費」のかかる生き物は? 大食漢のゾウでも、肉食のライオンでもない。コアラだ。ユーカリの葉のみを餌とし、8頭分で年間約6千万円。ジャイアントパンダ旦旦(タンタン)の6倍に当たる。コアラがいる動物園は全国で7園のみで、餌代の高さから飼育を断念する園も。王子動物園は、どのように入手しているのか。(西竹唯太朗)

 木の上で目を閉じ、微動だにしないコアラ。「消化にエネルギーを使っているので、食べるとき以外はほとんど動きません」と同園の谷口祥介飼育展示係長(37)が笑う。他の生物に比べて大きな盲腸を持ち、ユーカリの毒素を分解して消化しているという。

 同園は、1991年に神戸市の姉妹都市であるオーストラリア・ブリスベン市から来た3頭の飼育をスタート。繁殖に成功するなどして現在では、国内で4番目に多い8頭が暮らす。来園者の人気アンケートでは、パンダに次いで「不動の2位」だ。

 苦労するのは、ユーカリの確保。神戸に来た当初は、原産国のオーストラリアから輸入することも考えたが、輸送費が跳ね上がることからあきらめ、国内で調達することになった。

 同園にユーカリを提供している農園は、神戸市西区と鹿児島、岡山、愛媛、三重県の計7カ所。合計本数は2万1千本に上る。冬場は温暖な鹿児島から、夏場は岡山のものを与えているという。

 農地管理を委託されている神戸市公園緑化協会の竹田敦夫課長補佐(59)は「コアラは新芽しか食べない。季節や土地の気候で木の成長も違うので、栽培地を分散しておかないといけない」と話す。

 そのため、経費もかさむ。同園の2020年度予算には、コアラ飼料代として約6千万円を計上。2番目に高額なゾウ(2頭)は約1千万円と大きく差を開ける。神戸市北区の竹を提供されているタンタンは、約900万円になる。

 谷口係長は「ユーカリはコアラの餌専用に作ってもらっている所がほとんど。農家との契約金や輸送費で金額が高騰する」と説明する。

 日本動物園水族館協会によると、コアラを飼育するほかの6園も、同様にユーカリ農家と契約を結び、餌を確保している。4頭を飼育する淡路ファームパーク・イングランドの丘(兵庫県南あわじ市)は、台風などで島が孤立した場合に備え、契約するユーカリ園5園のうち、3園を島内に確保している。

 一方、天王寺動物園(大阪市天王寺区)は負担の重さから、19年にコアラの飼育を取りやめた。同協会は「動物園で飼育する動物の中で、餌代が最も高額なのはコアラで間違いないだろう」とする。

 タンタンが中国に帰ることが決まった王子動物園。「コアラが人気を引っ張っていってくれる」と谷口係長。「幸い繁殖もうまくいっているので、懐事情を考慮しながら飼育を続けていきたい」

     ◇     ◇

■動物の餌代、水族館は?

 日本動物園水族館協会によると、統計データはないが、水族館の餌代は同規模の動物園と比べると低い傾向にある。地元の漁師などから購入しているため、比較的安く入手できるからという。

 その中でも、貝類などを大量に食べるラッコや、アマモなど一部の海藻のみを食べるジュゴンなど、コアラと同様に特殊な餌を必要とする生物には餌代がかかる。鳥羽水族館(三重県鳥羽市)のジュゴンの餌代は年間約1800万円という。

 一方、絶滅の危機にひんする動物が増えたため、国間での生物の行き来自体が難しくなっている傾向にある。新たな動物の展示ではなく、既存の種の保存や展示方法の工夫に力を入れる動物園・水族館が増えている。

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