兵庫県三田市の温浴施設「三田天然温泉 寿ノ湯」に、ユニークな六角形の読書用スペースがある。その名も「蜂の巣」。新型コロナウイルス感染拡大による政府の緊急事態宣言は解除されたが、当時求められた“巣ごもり”の風景を映し出しているかのようだ。
同施設は、新型コロナ禍が本格化する前の今年2月にオープンした。7種類の風呂や岩盤浴コーナーのほか、フィットネスジム、レストランも備える。「ライフスタイル温泉」をテーマに掲げ、利用客が1日の大半を過ごせる施設を目指している。
「ほかの温浴施設にない設備を」と開設したライブラリーは、桜の木を模したイルミネーションツリーを囲むように、高さ約6メートルの書架などが円形に並ぶ。本の選定は東京・六本木の有名書店「文喫」に依頼し、利用客は同書店お勧めの新刊本や漫画、雑誌など約1万冊を自由に読める。
「蜂の巣」は、本を読む利用客がくつろげるスペースとして設置。六角形の形状は座ったり寝そべったりでき、クッションを入れて昼寝する人も。また、カラフルで柔らかい色合いの照明をともした机付きの個室「こもり部屋」では、じっくりと本の世界に浸ることができる。
ライブラリーの利用は岩盤浴とのセットになっており、利用客は貸し出されるTシャツと短パン姿に着替え、自宅さながらのリラックスした気分で過ごせる。
同施設は、新型コロナの影響で約1カ月半の休業を経て6月に本格営業を再開したが、客数は休業前の4割程度にとどまる。ブライダル事業などを手がける同施設の運営会社レック(神戸市中央区)の高橋洸・広報室課長(32)は「コロナ対策で接客は必要最小限に抑えているが、婚礼で培った一人一人への丁寧な接客を、常に心掛けています」と話す。
8月末までオープン記念キャンペーン中で、温泉利用は中学生以上平日750円、土日祝日850円。ライブラリーと岩盤浴利用は温泉利用料に加え、中学生以上平日750円、土日祝日850円が必要となる。
水曜定休。同施設TEL079・564・4126
(大森 武)