国の文化審議会(佐藤信会長)は17日、国の登録有形文化財(建造物)に新たに196件を加えるよう文部科学相に答申した。兵庫県内では、同県丹波篠山市の篠山城近くにある元陶芸工房の今村家住宅(同市西町)が選ばれた。
県教育委員会によると、同住宅は篠山焼を始めた今村静斎の生家で、昭和初期に制作が途絶えるまで工房や店舗として使用。1905(明治38)年築の元工房兼住宅「陶々菴」と土蔵、33(昭和8)年築の貸店舗の3棟からなる。
場所は、篠山城の北西で、旧西京街道に面した角地にあり、陶々菴や土蔵の外壁はしっくいが塗り込まれ、旧城下町の町家のたたずまいを残す。一方、貸店舗は1階が五角形、2階がL字形の特異な外観で、町並みに変化を与えている。城下町になじんだ建物として評価された。
現在も敷地内には登り窯の一部が残り、陶々菴はギャラリーとして活用されている。同市は篠山城下町一帯で町並みの保全を進めており、同市文化財課は「より一層保全・活用が進むことは大変喜ばしい」とする。
同住宅を含め、県内の国登録有形文化財は計212カ所708件となった。(斉藤絵美)