神戸市などは17日、コンピューターゲームで対戦する「eスポーツ」を使い、高齢者の健康増進を図る実証を始めると発表した。介護施設などの娯楽や家族間の対話に活用し、フレイル(虚弱)予防の効果などを試す。新たな交流やビジネスの可能性を探り、地域課題の解決や産業振興につなげたい考えだ。
同日、NTT西日本兵庫支店とeスポーツチームの運営などを行うPACkage(パッケージ、大阪府箕面市)と協定を結んだ。
新型コロナウイルスでオンライン活用が加速する一方、パソコン操作に不慣れな高齢者は離れた家族との面会や地域活動が減り、人間関係の希薄化が懸念される。eスポーツを家族らと一緒に楽しみ、健康維持につなげる。
具体的には、高齢者施設の入所者にeスポーツで囲碁や将棋などをしてもらい、体験時の体温や心拍数を計測。平時との数値の違いをデータ化し、健康に関するサービスや施策の充実に生かす。実証はNTT西が行い、神戸市は関係者間の調整を担当。パッケージ社は大学生ら講師の派遣などを担う。年内に始め、事業化の方策を検討する。
ほかにeスポーツの普及セミナーや関係者間の交流促進も行う。神戸市は「一過性の実証で終わらせず、幅広い人々が関わり、神戸にeスポーツの文化をつくっていきたい」としている。(横田良平)