JR西日本は大阪府吹田市の社員研修センター内に新たな安全教育設備を整備し、報道陣に公開した。沿線の走行景色だけでなく、乗車や衝突時の揺れまでリアルに再現した運転シミュレーターを新設したほか、バーチャルリアリティー(VR)を使った労働災害の模擬体験など「体感重視」の安全教育で事故ゼロを目指す。
新設の在来線総合実習室では、神戸線などを走る225系の模擬車両を配置。従来は車両工場でしか見られなかったパンタグラフや床下機器などと連動させ、車両の仕組みや安全に関するシステム、故障が起きた場合の対応などを室内で学べるようにした。飛来物を発見▽踏切内で車が立ち往生-など想定したトラブルのパターンは220に及び、運転士、車掌、運輸指令員の養成研修に役立てる。
さらに、2015年1月に同センター内にオープンさせた「安全体感棟」を移転・拡充。労働災害の防止対策として、球速100キロのバレーボールを飛ばして電車の速さを体感する装置や、高所作業からの転落の衝撃を感じる実験設備などを設けた。18年度~22年度末の5年間で、グループ会社を含めて計4万人の社員に受講させる計画を進めている。(前川茂之)