先月、兵庫県内で16年ぶりに確認されたニホンイヌワシのひなが無事に巣立っているのが確認された。但馬地域の氷ノ山周辺で元気に滑空する姿が認められた。
22日に現地入りした県立人と自然の博物館の調査チームが確認した。生育が順調なら巣立ちの時期は6月半ばごろまでで、遅れるほど命を落とす確率が高くなるという。ひなを初確認した先月25日にはまだ巣立っておらず、成長の遅れや栄養不足が心配されていた。
午前と午後の2回、幼鳥が飛ぶのを確認。2度目は母鳥と一緒に山の尾根よりも高い所で悠々と滑空し、幼鳥に特徴的な翼の白い紋もくっきりと浮かび上がった。
半世紀にわたってニホンイヌワシを追ってきた三谷康則さん(72)は「高い所を飛べるのは、巣立ってからかなり時間がたっている証拠。11月ごろの親離れまで順調に育つのでは」と安心した様子だった。
狩り場が狭まり、えさの確保が難しくなるなど、生息環境が悪化している中での巣立ち。同館の布野隆之研究員(43)は「本当にほっとした。山の手入れなど、イヌワシが生息できる環境づくりを進めたい」と力を込めた。(山崎 竜)