ドイツの作曲家ワーグナー(1813~83年)のオペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の面白さを知ってほしいと、神戸大の学生有志が、作品鑑賞の手引となるホームページを開設した。同作品がテーマのシンポジウムが新型コロナウイルスの影響で中止になったことから企画。登壇予定だった研究者へのインタビューなどから、作品の魅力を多角的に分析する。
神戸大アートマネジメント研究会内のプロジェクトメンバー9人。7月に日独などの共同制作公演、6月には関連するシンポジウムがいずれも県内で予定されていたが中止に。学生らはシンポジウムの会場でパネル展示を行う予定だった。
「ニュルンベルク-」は16世紀のドイツが舞台。職人の親方で歌い手も兼ねる「マイスタージンガー」たちが、女性への思いを巡らせる喜劇で全3幕から成る。
ホームページでは、物語のあらすじや人物相関図のほか、作品の反ユダヤ的側面がナチス・ドイツに政治利用された過去などについて紹介。登壇予定だった音楽文化史や西洋美術史の専門家4人が学生の質問に答える動画も掲載した。
このうち、ワーグナー研究者の山崎太郎・東工大教授(ドイツ文学)は、登場人物の内面について説明。初心者が鑑賞する際のポイントとして「台本を前もって読んでおくとさらに作品を面白く感じることができる」とアドバイスしている。
「休校中、仲間とネットで連絡し合いながら、作品についてじっくり考えることができた」と学生代表で神戸大国際人間科学部4年の門田(もんでん)菜奈さん(21)。その成果として「硬直した現代の社会制度や慣習を打開するきっかけについて考えることができる」など、学生間の対話を紹介するページも設けた。
今後は、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールで来春上演予定のワーグナーのオペラ「ローエングリン」についても同様のページを制作予定で、出演歌手らへのインタビューも計画している。
監修した藤野一夫・同大学大学院国際文化学研究科教授(音楽文化論)は「掲載する情報を拡充しやすいデジタルの特色を生かしながら、オペラを立体的に分析できるページになれば」と期待を寄せる。
ホームページは「『マイスタージンガー』で考える学びの広場」で検索できる。(井原尚基)











