18歳の勢いが止まらない。7月に最年少タイトルを獲得した藤井聡太棋聖(18)は、木村一基王位(47)と争う第61期王位戦でも開幕から破竹の3連勝を達成。二つ目のタイトル奪取へ、あと1勝と迫った。
中盤までお互いの出方を探り合う展開が続いた。後半に入ると、藤井が攻め続けて優位に進めた。受け(守り)を身上とする木村が相手の攻めをかわし続け、一時は劣勢を覆すかに思われた場面もあったが、藤井は勝利をたぐり寄せた。終わってみれば149手に及ぶ大熱戦に。
控え室では、立会人の淡路仁茂九段(70)と副立会人の都成竜馬六段(30)が対局を検討。テーブル上に盤面を広げて、両対局者の視点に立って駒を動かす。「難しい手だ」と、一手一手の意味を探る。木村が驚異の粘りを見せる姿に、淡路九段が「逆転するのでは」とうなる場面もあった。
2日間にわたって繰り広げられた有馬決戦は、藤井が親子ほどの年齢差がある大先輩・木村を振り切って幕を下ろした。
タイトル奪取へ王手をかけた藤井は「途中から手の調子はいいと思ったが、誤算があった。これまでの将棋を反省して、第4局はいい将棋を指したい」と熱戦を振り返った。
第4局が背水の陣となる木村は、藤井の印象を「しっかり指されたなという感じ。後はなくなったが、いつも通りやる」と話した。(津谷治英)
【藤井聡太棋聖の話】4五桂(83手目)から5三桂成(85手目)と手順に桂馬がさばけたが、3四歩(87手目)がやり過ぎだった。2一銀打(121手目)に対し、2二玉(122手目)と取られてから2三玉(124手目)とされて負けにしてしまったが、4九飛(141手目)と回って好転した。
【木村一基王位の話】2四歩(41手目)から歩を交換されて損をしたなと思っていた。5九角(63手目)と引いた相手の構想が秀逸だった。攻められっぱなしになったが、諦めてはいけないと思って6二銀(90手目)とした。終盤にチャンスがあったとしたら残念だったと思う。