秋以降の解体が決まっている神戸市役所2号館(同市中央区)にミューラルアート(壁画)を描くプロジェクトで、最後の作品となる同館北壁(縦8メートル、横30メートル)の絵が14日に完成した。プロジェクトは7月13日に始まり、同館北側の花時計跡地にあるクーリングタワー(冷却塔)の防音壁を含め、計6作品が出来上がった。阪神・淡路大震災を乗り越えた庁舎の最後に花を添えている。(長谷部崇)
2号館は1957(昭和32)年築。元は8階建てだったが、震災で6階部分がつぶれ、6~8階が撤去された。解体後は跡地に、ホテルや音楽ホールなども入る高層の新2号館を市が建設する計画で、2025年度以降に完成する予定。
壁画プロジェクトは実行委員会がクラウドファンディングで資金を募り、約800人から約570万円が集まった。14日に完成した北壁を含め、アーティスト7組が神戸の街並みなどをテーマに6作品を描いた。
北壁の絵は、海外でも壁画を手掛ける東京在住の夫妻ユニット「HITOTZUKI(ヒトツキ)」が3日から高所作業車で制作。夫のKAMIさん(45)がダイナミックな曲線を、妻のSASUさん(46)がグラデーションで花を描いた。JR三ノ宮駅ホームからも見える花の絵は、夏空や神戸の海をイメージして彩度の高い青色を選んだ。
2人は「新型コロナで自粛生活が続くが、作品を見上げ、少しでも晴れやかな気持ちになってもらえれば」と話した。
