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昆虫粉入りのクッキーを作る篠山東雲高校の生徒たち=丹波篠山市福住
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昆虫粉入りのクッキーを作る篠山東雲高校の生徒たち=丹波篠山市福住
コオロギの粉を使った「こおろぎだしパック」(バグモ提供)
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コオロギの粉を使った「こおろぎだしパック」(バグモ提供)

 「えびせんみたい」「チョコの香り?」-。将来の食料危機を救うかもしれない食材として「昆虫食」に注目が集まっている。高タンパク質で栄養価が高いが、問題は食べることへの抵抗感。「ゲテモノ食い」のブームで終わらせないために、さまざまな取り組みが各地で進む。(金 慶順)

 今夏、篠山東雲高校(兵庫県丹波篠山市福住)の教室に4種類の粉末が並べられた。生徒たちが恐る恐るにおいをかぐ。

 「コオロギ、カナブン、イナゴ、イモムシをすりつぶした粉です」

 東大阪大学短期大学部の実践食物学科長、松井欣也教授(62)がさらりと紹介した。「カナブンは近所で捕まえて、洗って乾かし、丸ごとつぶして粉にしました」。イモムシやコオロギ粉は市販の製品という。

 生徒はクッキー生地に薄茶色や緑がかった灰色の昆虫粉を混ぜ、オーブンで焼き上げた。いざ実食すると…。

 イモムシは「抹茶のクッキーみたい」、イナゴは「香ばしい」、カナブンとコオロギは「えびせんっぽい」。ただし「まずくはないが、進んで食べたくもない」と、微妙な感想も多かった。

 2年の男子生徒(16)は「見た目を変えると抵抗が少なくなった」という。

 本年度、専門授業の一つに初めて昆虫食を取り入れた同校。藤原直己教諭(28)が「生きている間に日本にも食料危機が訪れるかもしれない。そのときに昆虫食の体験を生かしてもらえたら」と企画した。

 講師として招かれた松井教授は管理栄養士。昆虫食の研究を始めたきっかけは東日本大震災だという。

 発生3カ月後、宮城県石巻市の避難所で栄養支援に当たり、深刻な栄養不足に直面した。「バランスの取れた災害食を作れないか」と探り、昆虫食にたどり着いた。

 昆虫はタンパク質やビタミン、鉄分などを多く含み、農作物のように肥料や水、土地も不要。ブタやウシから取れる精肉は全体重の5割以下だが、昆虫の可食部は8~10割だ。人類が数千年前から食べていた「伝統食」でもある。

 近年、全国で昆虫食を体験するイベントや教室が盛況といい、松井教授は「人口爆発や戦乱、災害による食料難を救う鍵になるかもしれない。先入観を捨て、まずは最初の一口を」と呼び掛ける。

■「おいしく高栄養」商品化続々

 昆虫食が注目されたきっかけの一つは、2013年に国連食糧農業機関(FAO)が発表した報告書だ。人口増加などで予測される将来の食料危機に対し、「昆虫食は有効な手だて」とする内容だった。

 国内でも近年、昆虫食を扱う企業や飲食店が増えている。今年は生活雑貨ブランド「無印良品」から「コオロギせんべい」が発売され、話題になった。

 18年に設立された京都市のベンチャー企業「BugMo(バグモ)」は今月、スープなどに使える「こおろぎだしパック」を販売する。静岡県のかつお節メーカーと連携し、コオロギ粉と野菜などを配合。味はコンソメに似ているが、より奥行きがあるという。

 材料のコオロギはベトナムで養殖。育てるのに環境への負荷が少ないことも魅力という。「日常の食卓に並んでほしい」と松居佑典代表(34)。もう一人の代表で、神戸大学4年の西本楓さん(22)も「面白半分ではなく、おいしくて栄養があるから食べてほしい」と期待する。

 販売はクラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー」で開始されており、9月末までの予定。

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