第61期王位戦7番勝負(神戸新聞社主催)の第4局で、木村一基前王位(47)を圧倒した藤井聡太新王位(18)。最年少での二冠獲得と八段昇段に、「藤井時代」の到来か、と騒ぐ周囲の声にも、本人の喜びは控えめだった。「4連勝という結果は望外。実力以上の結果が出たのかなという気はします」-。一見穏やかな18歳の、底知れない強さが際立った。
午前9時、封じ手開封。1日目の終盤に36分考えた封じ手は8七同飛成。飛車を逃がさず、犠牲にする一手だ。「局面として分岐点。少し苦しいかなと思ったけど勝負した」
この手が功を奏し、2日目は序盤から攻勢に。右肩を落とした前傾姿勢で盤面を凝視し、時折、前後に体を揺らしながら指し回す。午後4時59分、木村が投了を告げると深々とお辞儀。予選から14戦負けなし、堂々の完勝劇を完結させた。
「タイトル戦で自分の課題も見えた。そういったところを改善して、強くなっていきたい」。終局後、福岡市内での記者会見ではさらなる向上心を口にした。
デビュー当初は序盤、中盤で崩れる場面があった。今は「中盤の指し回しはデビュー当時と比べたら成長できている」と自信を持つ。コロナ禍で2カ月弱対局がなかったことも「普段以上にじっくり将棋に取り組めた」と前向きに捉える。
将来についても「強くなるという目標はどこまでいっても変わらない」。二冠は通過点に過ぎない。
 
       
					 2020/8/21 05:30
2020/8/21 05:30

 
											



 

 
 
 
 





