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首里城再建への思いを込め、絵画を制作した柳生君。机の上にはコピックが並ぶ=西宮市内
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首里城再建への思いを込め、絵画を制作した柳生君。机の上にはコピックが並ぶ=西宮市内
柳生千裕君が描いた「いつかその日まで」
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柳生千裕君が描いた「いつかその日まで」
柳生君の絵の掲載が決まった「沖縄手帳」
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柳生君の絵の掲載が決まった「沖縄手帳」

 昨年10月の火災で正殿などが焼失した首里城(那覇市)の再建を願い、兵庫県西宮市の柳生千裕(ちひろ)君(11)が描いた絵画が会員制交流サイト(SNS)で反響を呼び、沖縄の年中行事などの情報を網羅した「沖縄手帳」の2021年版に掲載される。絵は高品質のカラーマーカーを使い、首里城のシンボル赤瓦を色鮮やかに表現し、「いつかその日まで」と名付けた。柳生君は「沖縄の方が少しでも前向きな気持ちになれば」と話す。(竹本拓也)

 自閉スペクトラム症(ASD)のある柳生君は、西宮市立総合教育センター付属西宮浜義務教育学校の6年生。9歳の時、父尚央(ひさお)さん(40)が学生時代に使っていたアルコールインクのカラーマーカー「コピック」を手に取ると、恐竜や魚など好きなものをどんどん描くように。独学だが、昨年6月にはコピック作品を対象としたコンテストで「次世代アーティスト賞グランプリ」を獲得した。

 「いつかその日まで」の絵を描いたのは、首里城が炎上したニュースに心を痛めたことがきっかけ。首里城の歴史や沖縄の草花をインターネットで調べ、首里城が沖縄県民の心のよりどころとなっていることも知る。昨年12月、B4の画用紙いっぱいに描きあげた。

 「構図は、目の前の対象と向き合いながら考えている」とはにかむ柳生君。建物の絵は初挑戦だったが、シンボルの赤瓦の色使いはほぼ左右対称で、線画には定規を使う精巧さ。両端のハイビスカスや中央のデイゴ、草をイメージした曲線を用いて柔らかさも表現した。

 尚央さんが管理する作品投稿用アカウントで紹介されると、幻想的な作風に多くの声が寄せられた。「希望の象徴」「どれだけ励まされたか」-。沖縄手帳を出版する沖縄手帳社(沖縄県沖縄市)の発行人、真栄城(まえしろ)徳七さん(69)も偶然作品に出合った一人だ。完成度の高さにも驚かされたが、「大きな喪失感を抱いていた沖縄県民の心を勇気づけてくれるような、優しくて夢のある首里城だった」と振り返る。

 沖縄では、旧暦や地域独自の記念日などを載せた地域色豊かな「県産手帳」が流通しており、全国にファンがいる。沖縄手帳はその先駆けで、毎年手帳の裏見返しに知的障害者らの芸術作品を掲載してきた。これまでは県内在住者の作品が続いてきたが、真栄城さんは迷わず柳生君の作品の起用を決めた。初の県外在住者だが、「沖縄と縁が深い兵庫の小学生を通じて、首里城再建に関心を持ってもらえることが本当にありがたい」と話す。

 沖縄手帳は10月1日に発売予定。柳生君の作品の絵はがきセット(5枚)も販売し、収益金を首里城再建費用に充てる。柳生君の作品はツイッターアカウント「nao‐yagyu」などで投稿されている。

 

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