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今年春に大学を卒業した男性が、入社延期の末に受け取った「不採用通知」=大阪市内(画像の一部を加工しています)
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今年春に大学を卒業した男性が、入社延期の末に受け取った「不採用通知」=大阪市内(画像の一部を加工しています)

 今年春の大学卒業者が、新型コロナウイルス感染拡大による業績の悪化などを理由として、入社の内定を得ていた企業から4月以降、数カ月にわたって自宅待機を命じられた末、入社を断られるケースが出ている。2021年春入社の就職活動は既に大詰めで門戸が狭まり、職務経験がないため中途採用のハードルは高い。監督官庁は問題視するが支援は届いていない。(中務庸子)

 「今回の採用は見送らせてください」。5月末、兵庫県立大を卒業した男性(22)は、入社するはずだった東京のシステム会社の人事担当者から切り出され、頭が真っ白になった。「理由は?」「無給でいいので働かせてほしい」。男性が何を言っても「コロナで仕事が激減している」として応じてもらえなかった。

 男性は大学在学中、手に職を持とうとシステム開発会社への就職を目指した。専門知識はなく、初心者にも丁寧に研修するとした企業を受けた。3社から内々定をもらい、最も魅力を感じたこの会社を選んだ。

 しかし、新型コロナの感染が広がる中で入社日は4月末まで延期に。さらに5月半ば、同月後半へと、2度引き延ばされた。

 5月末にようやく東京で始まった入社前研修は、事前の説明と違い、難易度の高いプログラミングの課題を自力でこなす内容だった。2人いた「同期」のうち1人は初日に、もう1人は2日目に入社を辞退した。男性が採用の見送りを告げられたのは研修3日目。能力不足を理由にされ、「辞めさせるための研修だったのでは」と不信感が残る。

 男性は転職サイトに登録し、約100社に応募した。学生時代に市役所でアルバイトした経験などをPRしたが、採用されなかった。自治体などが4月以降、内定取り消しを救済する臨時採用枠を設ける動きもあったが、男性が再び就職活動を始めたときは受け付けが終了していた。「いっそ、もっと早く不採用と聞いていたら」との思いも消えない。

 派遣会社に登録し、7月、大阪のシステム会社で非正規で働くことが決まった。数カ月勤務した後の正社員登用が前提といい、同月末から出勤している。

 男性と同様に、自宅待機の末に働き口を断たれる事例が、県内の別の大学の卒業生でもあった。

 関係者によると、この卒業生は関西の不動産会社から内定を得ていた。一度も出勤しないまま8月になり、「月末に進退に関する話がしたい」と連絡があった。初任給の6、7割程度を受け取っていたが、9月末で打ち切られるという。

 兵庫労働局職業安定課は、県立大の卒業生の場合は「内定取り消し」に該当し、もう一人の不動産会社から内定を得た卒業生は雇用関係が生じた後の「退職勧奨」に当たると指摘。担当者は「いずれも直ちに違法と判断できないが、卒業後の再就職活動は応募の機会が減り、精神的な打撃が大きい。あってはならない。企業には適正な対応を取るよう働きかける」とする。

 今年春入社の就職活動は、人手不足を背景に売り手市場で推移した後、年明け以降に新型コロナ禍で環境が急変した。同課は卒業者の状況把握を含め「大学と連携してサポートしたい」としている。

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