「あまりにも突然で、全く予想していなかった」。拉致被害者で神戸市出身の有本恵子さん=失踪当時(23)=の父、有本明弘さん(92)は、驚きを隠せない様子だった。
明弘さんは今年2月、北朝鮮による拉致被害者家族会のメンバーらとともに、官邸で安倍晋三首相と面会。その際、安倍首相は「一日も早く解決しないといけない」などと語っていたという。それだけに「拉致問題を解決しないまま、辞任してほしくなかった」と悔しさをにじませた。
記者会見のテレビ中継を神妙な面持ちで見入った後、「病気には勝てないので仕方ない。自民党の中では一番いい首相だった」と、拉致問題への取り組みを評価。米国と中国の対立が激化する国際情勢などを踏まえて「コロナもあって世界が大変なときに、代わりをできる人なんているのか」と心配した上で、「後任にも、拉致問題の解決をきちんと引き継いでほしい」と求めた。(末永陽子)









