安倍晋三首相の突然の辞意表明に兵庫県内でも驚きの声が上がった。持病の再発に理解を示しつつも、新型コロナウイルスの収束が見通せない中での退陣に厳しい意見も目立つ。7年8カ月に及ぶ長期政権の評価は賛否が割れた。
「ニュースで体調が悪いと言っていたけど、まさか辞めるとは」。神戸市須磨区の男性(76)は驚いた様子で、「全体的には頑張ったと思う。でもコロナ対策で配布されたマスクは使っていない人が多いし、最近は国民との意思疎通が図れなくなっていたのかな」と話した。
加古川市の大学3年の女性(20)は新型コロナの影響で学校に通えない日が多かった。「卒業後のことを考えたら不安で仕方ない。もっと学生に対しての支援を考えてほしかった」と口にした。
医療関係者からもコロナ対策への影響を危惧する声が相次いだ。「経営の悪化に伴い地域医療が崩壊する可能性が高まっている中で国のトップが代わるのは心配。対策に空白期間が生じてはいけない」と県保険医協会の西山裕康理事長。兵庫医科大の竹末芳生感染制御学主任教授は秋冬の流行拡大を見据え、「インフルエンザとの同時流行が心配される。次のリーダーにはより強力な指導力を求めたい」と注文を付けた。
「Go To トラベルで観光業に目を向けてくれたが、中途半端な印象」とは、新型コロナの感染防止と観光需要の両立を模索する有馬温泉観光協会(神戸市北区)の金井啓修会長(65)。「ただ、政権がころころ代わっていた時期に比べれば経済政策は安定していた。訪日外国人客(インバウンド)誘致も進んだ」と振り返った。
芦屋市の不動産会社社長の男性(65)も「アベノミクスで内需が拡大し、利回りの良い不動産にお金が集まった。日本全体の経済を何とか活性化させようと頑張ってくれた」と評価した。
一方、JR姫路駅近くの商店街で17年間たこ焼き店を営む男性(74)は「やっぱり庶民の食べ物やから、アベノミクスで株価が上がってもたこ焼きは売れない。薄利多売の商売に消費税率の引き上げは痛かったね」。
森友、加計学園問題、「桜を見る会」の問題などを挙げる人も目立った。台湾出身で10年ほど前に来日した神戸市長田区の主婦(52)は「疑惑や悪い面がきちんと明らかにされないままで、がっかりだった」。
芦屋市の会社員男性(32)は「コロナ以外でも解決できていない問題がたくさんある。正直、代わってほしかった」と話した。









