街を冷やせ! 神戸市は異常高温対策として、散水車で都心部の車道に水をまく新たな取り組みを始めた。7月下旬から約2カ月間、オフィスや商店が立ち並ぶ旧居留地(同市中央区)を走り回り、効果を検証する。1日の放水量は約32トン。市によると、マラソン大会前に路面温度を下げるため水をまく事例はあるが、長期にわたって大量に散水し続けるのは全国的にも珍しいという。
毎夏の記録的な暑さを受けて、市は屋外の公共空間での対策を強化。昨年はほとんど日陰ができない交差点で、ミストシャワーや日よけを付けた休憩ベンチを置いた。
“散水車作戦”は神戸大大学院工学研究科と連携。2台の車両が雨の日を除いて毎日午前と午後に運行し、一部の歩道では手作業による打ち水も行う。同大の学生が歩道など周辺の温度を計測。データ化して検証する。さらに、路面の温度変化をウェブサイトで可視化する実証実験も神戸高専(同市西区)と行う。
今夏は新型コロナウイルスの感染再拡大もあり、市は病院などの負担を減らすため、例年以上に熱中症患者の発生を抑えたい考え。市は「対策として考え得ることは全てやりたい。散水の結果を、道路の形状変更など今後の施策に生かしていきたい」と話す。(初鹿野俊)