JR西日本は3日、新神戸駅(神戸市中央区)で視覚障害者の安全確保を目指して行っているスマートフォンを使った駅構内の案内システム「shikAI(シカイ)」の実証実験を公開した。専用アプリでQRコードを読み取り、事前に設定した目的地までの経路を音声で案内する。大阪駅の一部として2023年春、再開発地区「うめきた」の地下に開業する新駅への導入を目指している。
視覚障害者がホームから転落したり、電車と接触したりする事故が相次いでおり、JR西はホームドアの整備とともに、より安全に移動をサポートできるシステムを模索している。
新神戸駅は、売店や地下鉄への乗り換えなど機能がコンパクトに集約されていることから実証実験の場所に選んだ。8月中旬~来年3月末に、約50人の視覚障害者に参加してもらい、検証を進める。
実験では、視覚障害者が専用のアプリをダウンロードしたスマホを手に、点字ブロック上に設置されたQRコードを読み取りながら駅構内の入り口からホームへ移動。「前方に上り階段です。18段上ります」などの音声アナウンスに従って白杖で前方を確認しながら歩いた。
体験した神戸市西区の男性(69)は「QRコードがスムーズに読み取れる上、指示も細かくて分かりやすかった。ほかの施設にも広がってほしい」と話した。(前川茂之)