新型コロナウイルスの「感染者」として発表され、直後に取り消される事例が5日、神戸市で5人相次いだ。検査の拡充ニーズを背景に多様な検査法が認められている一方、簡易で迅速な検査法は精度の低さも指摘されており、県内ではこれまで計7人が取り下げられている。(霍見真一郎)
同市は5日、市内のA医療機関が簡易キットによる抗原検査で陽性確認した1人(2日発表)と、B医療機関が唾液によるランプ法検査で陽性確認した4人(2~3日発表)の届け出が取り下げられたと発表した。市健康局によると、いずれも医師が結果に疑いを抱き、異なる方法で再検査したという。
同市は、8月26日にも取り下げを発表。県によると、県所管でも、これまで1人が取り下げられている。
新型コロナの検査法を巡っては、当初PCR検査のみだったが、ウイルスのDNAを増幅して検出する「ランプ法検査」や、ウイルス特有のタンパク質の有無を判定する「抗原検査」も確定診断として認められるようになった。しかし、PCRを含め、いずれも精度は完璧ではなく、最終的な判断は医師に委ねられているため、今後も取り下げが出てくる可能性がある。
神戸大病院の宮良高維感染制御部長は「取り下げが行われたことは評価すべきだ。正確な検査を目指し、判定精度に医療機関が気を使っていることの証拠と言える」と話している。
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