新型コロナウイルス感染拡大後、初めての調査となった兵庫県の基準地価。これまで上昇基調にあった都市部の商業地は、インバウンド(訪日外国人客)の激減などで急速に需要が細り、下落に転じた。地方部への影響は今のところ限定的だが、専門家は「今後、波及していく可能性がある」と警戒を強めている。
県内商業地は5年ぶりの下落に転じたものの、前年と比べるとほぼ横ばいのマイナス0・1%。県土地対策室の担当者は「今回は、コロナの影響は思ったほどではなかった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
しかし、対前年ではなく、コロナ感染が広がる数カ月前の1月1日時点の公示地価データと比較すると、楽観できない状況が浮かび上がる。
県内商業地の最高値だった神戸市中央区三宮町1(三宮センター街)は今回、1平方メートル当たり670万円。前年(655万円)から2・3%伸びた。ところが、同地点の1月時点の公示地価は720万円。インバウンド効果などで急上昇していた最中にコロナ禍が襲い、1月からの半年間で6・9%も下落した。中央区の他の商業地3地点も、1月と比べて軒並み落ち込んだ。
県不動産鑑定士協会の多田敏章会長は「ホテルや飲食店など、インバウンドの追い風が強かったところが特にコロナの影響を受けている」と指摘。その上で「雇用調整助成金など行政の補助金がなければ、本来はもっと下がっていたはず」と先行きを不安視する。
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一方、地方部では異なる変化の兆しも出ている。但馬や丹波、西播磨地域の住宅地は下落傾向は変わらないものの、下げ幅は前年よりやや改善した。
丹波地域の住宅地は、前年のマイナス1・3%から、今年は同1・1%と下落幅が縮小した。鑑定した不動産鑑定士の三浦靖和さんは「コロナによる地方回帰の影響とみるには時期尚早」と前置きしつつ、「地方でも駅前の徒歩圏内や市街地はもともと需要が高い。都心部からの移住希望者も増えている」と語る。
ただ、周辺部の人口減少のスピードが速いことから、地域全体では今後も下落傾向が続くとの見方が強い。それでも三浦さんは「コロナで利用が伸びている地方の物販店周辺などは、改めて需要が高まっている。一方で、来年以降の地方の住宅需要やテレワーク普及状況などを注視していく必要がある」としている。(前川茂之)
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