入所者に暴行したとして元職員が逮捕された障害者支援施設「西宮すなご医療福祉センター」(兵庫県西宮市武庫川町)で昨年1月、別の元職員の男性看護師が入所者の胸部をつねり、同市が虐待行為と認定していたことが14日、同市などへの取材で分かった。
同センターでは、重度の障害がある入所者の50代男性の顔を床に打ちつけるなどしたとして、兵庫県警が13日、傷害容疑などで元職員の男(32)を逮捕していた。
さらに同市やセンターによると、昨年1月24日と30日の2回、男とは別人で看護師だった元男性職員が、寝ていた入所者の胸の辺りをつねる行為が確認されていた。同僚が目撃し、元職員は施設側の聞き取りに「起こすつもりでつねった」と説明。入所者は体がのけぞるほどの強さでつねられ、胸の辺りに赤い跡が5カ所ほど残っていたという。
報告を受けた同市は昨年3月25日に虐待行為と認定し、施設は改善計画書に基づき、虐待防止研修を3回行っていた。この元職員は昨年7月に自主退職した。
一方、県警に逮捕された男は今年6月以降、入所者の男女計10人に繰り返し暴行したことが分かったとして、8月に懲戒解雇された。
職員だった2人が施設で虐待を繰り返していたことに、監督する西宮市法人指導課は「組織として、再発防止や虐待に対する意識改革が十分でなかった可能性がある」と受け止め、同センターの小谷地健事務長(58)は「深く反省し、さらに改善に取り組む」としている。(大田将之、名倉あかり)