神戸・ポートアイランドのスーパーコンピューター(スパコン)が「京(けい)」から「富岳(ふがく)」に代替わりしたのに伴い、ポートライナーの最寄り駅「京コンピュータ前駅」の名称を変更する方針を関係機関が固めたことが、25日までに分かった。新しい駅名はスパコンと一線を画した恒久的なものにし、副駅名として「富岳」を含めることを検討しているという。駅名変更には交通系ICカードのシステム改修などが必要で、実際に変更されるのは、早くても来年春以降となる見込み。(霍見真一郎)
ポートライナーを運行する神戸市の外郭団体・神戸新交通(同市中央区)と市が調整を進めている。同駅は2006年、神戸空港開港に合わせポートライナーが延伸されたのに伴い、「ポートアイランド南駅」として開設。「京」が一部稼働した11年、現駅名に改称された。京は昨年運用を停止し、21年度に富岳の本格運用が始まる予定。
関係者によると、神戸新交通では当初、10年近く親しまれた駅名を変えないことも検討していた。駅名変更には、全国に影響が及ぶICカードのシステム改修、車両や駅の表示更新などで少なくとも5千万円の経費が見込まれるためだ。だが「富岳」という後継機名が発表されたのに加え、今後もこの地でスパコンが更新されるか分からない事情などを踏まえ、恒久的な駅名に変える方針を固めた。
同駅の1日当たりの乗降客数は、開設直後の06年度は1400人だった。当初は「空港までの途中駅」という印象が強かったが、観光施設の「神戸どうぶつ王国」が駅前にオープンし、周辺の医療産業都市の研究機関や企業も増えたことから、19年度は4600人まで増加した。ポートライナーの全12駅で8番目に多い利用者数となっている。
■短期に2度変更珍しい
2000年末に日本の鉄道全線を完全制覇し、神戸新聞で現在「ひょうご駅散歩」を連載中の紀行作家田中正恭さん(64)の話 全国的に駅名が変わることはよくあるが、これだけ短期間に2回変わるのは非常に珍しい。JRなど古くからの鉄道会社の駅名は地名に由来するケースが圧倒的だが、ポートライナーのように比較的歴史が浅い路線は、学校や施設などランドマーク的なものが多くなっている。駅名は街のイメージに与える影響が大きい。今後、長期的にはスパコンの状況に変化があり得ることも踏まえ、恒久的な駅名を目指すのは賛成だ。
