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特別養護老人ホーム「いくの喜楽苑」で働く西垣真太郎さん。入居者の思いを聞くことを大切にしている=朝来市生野町竹原野
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特別養護老人ホーム「いくの喜楽苑」で働く西垣真太郎さん。入居者の思いを聞くことを大切にしている=朝来市生野町竹原野
ホストの経験も生かし、特別養護老人ホーム「大慈弥勒園」で働く湯本亘さん=神戸市西区櫨谷町長谷(撮影・辰巳直之)
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ホストの経験も生かし、特別養護老人ホーム「大慈弥勒園」で働く湯本亘さん=神戸市西区櫨谷町長谷(撮影・辰巳直之)

 兵庫県内の福祉施設などで働く若手職員を励まそうと、公益財団法人神戸新聞厚生事業団(理事長・高士薫神戸新聞社会長)が創設した「第1回ひょうご 福祉の現場 若手リーダー賞」の受賞者2人が、26日決まった。いずれも施設利用者と地域に愛情を持って仕事に励んでおり、福祉現場の模範として、さらなる活躍が期待される。

 2人は、特別養護老人ホームいくの喜楽苑(えん)(朝来市)の西垣真太郎さん(39)▽特別養護老人ホーム大慈弥勒(だいじみろく)園(神戸市西区)の湯本亘(わたる)さん(35)。

 賞は、福祉現場で働く人たちの頑張りや成果が正当に評価され、福祉の仕事が若者の「あこがれ」になる社会を願い、同事業団が今年創設した。趣旨に賛同した神戸新聞社、兵庫県、同県社協、神戸市、同市社協が後援。県内の福祉・障害者など12団体から協力を得た。

 賞の応募資格は、福祉の仕事に10年以上携わった人。選考指針は「現場のリーダーとして利用者らに愛情ある態度で接し、組織の改善に取り組み、生きる喜びを身をもって伝えているか」と定めた。

 大学教授ら8人の選考委員が、書類選考を通過した候補者7人について、自己PRや候補者同士のディスカッションを通じて審査した。入所者とその地域への並々ならぬ愛情にあふれた2人を選んだ。

 表彰式は、新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、各受賞者が所属する施設の上部団体の役員会などで実施を予定。同事業団役員が賞金20万円、表彰状と盾を贈る。

■特別養護老人ホームいくの喜楽苑リーダー 西垣真太郎さん(39)【介助負担軽減へリフト導入】

 福祉用具の導入を進め、介護施設職員の体力負担の軽減に貢献した。正月や花火大会など季節の行事を大切にするほか、地区の祭りにも出掛けて入居者と地域との交流の場を用意している。受賞には「同僚や入居者、家族、地域の人に支えられたおかげ」と喜ぶ。

 朝来市出身。祖父母の介護のため大学時代に取ったホームヘルパー2級の資格を生かし、県内5カ所で特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人「きらくえん」(神戸市)に就職した。最初の3カ月は「食事を喉に詰まらせないか、力を入れて担ぐと骨が折れないか」といった恐怖で入居者の体を触れなかったが、先輩の指導のおかげで徐々に克服できたという。

 約10年前にリーダーを任されると、経験豊富な職員が腰痛や腱鞘(けんしょう)炎などを理由に離職するという問題に直面。居室や浴室へのリフト導入を提案したが、作業工程の増加や、機械で入居者の体を動かすことに対する恐怖感から理解が得られなかったという。

 そこで約1年かけて、全職員を対象にした勉強会や体験会を企画。リフト導入後のアンケートでは大半の職員が「負担が軽減した」と答えた。年齢や体力差に左右されない「誰でもできるケア」が進んだという。

 大切にしていることは、入居者の自己実現。90代の女性入居者の希望で出掛けた紅茶専門店での「女性らしい、つやのある笑顔が忘れられない」という。施設の家族交流会でも、誰もが普段とは違う安心感に満ちた表情になるという。

 「老いることの喪失感を新人職員が理解することは難しい。だからこそ、細かい指導と気配りが求められる」と考え「入居者と新人の懸け橋となり、チームとしての成長に導きたい」。受賞で、新たな使命感が芽生えた。(竜門和諒)

■特別養護老人ホーム大慈弥勒園主任生活相談員 湯本亘さん(35)【努力認め合う職場環境に力】

 人を引きつける柔和なスマイル。「現場で働く職員のことを考え、行動してきたことが認められた」と破顔する。神戸市西区の特別養護老人ホーム「大慈弥勒(だいじみろく)園」で働いて11年。新入所者への相談などを担い、施設の運営を支えている。

 現場を離れた今も、手がすけば入所者と話をしに行く。「会えないと寂しいから。『もっと顔を出せ』って怒られちゃいますけど」と照れ笑いする。

 認知症になった祖母が同園に入所し、「親孝行のつもりで」と23歳で福祉の世界に飛び込んだ。前職は神戸・三宮で働くホスト。ネオン街からの転身は驚きの連続だった。

 強みとなったのはホスト時代に培ったトーク術。とにかく話し、心を開いてもらうことに重点を置いた。「力を抜き、身を任せてもらうことで介護しやすくなる。互いに楽なんです」

 介護の第一線で、気付いたのは高い技術を持つ同僚の存在。高いモチベーションで働いてもらおうと、「職員オブ職員選手権」というイベントを考えた。年末に職員が1年の感謝を伝えたい同僚に投票し、各部署の上位を表彰する。

 「あなたは必要不可欠」「業務内容の説明が分かりやすい」…。表彰状に並ぶ言葉から、上司にも見えなかった職員の人柄が浮かび上がる。表彰状を手に涙をこぼす職員もおり、施設の恒例行事になったという。

 離職率が高い介護業界。日々の業務は上司にも、入所者の家族からも見えないことが多い。「だからこそ、共に汗を流す同僚に努力を認めてもらうことに意味がある」と力を込める。

 「『役に立っている』という実感があれば、きっと笑顔で働ける」。職員の笑顔は入所者の笑顔。全ての人に優しい施設を目指し、挑戦を続ける。(伊田雄馬)

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