厚生労働省は6日、工業技術や衣服、建設など各分野で卓越した技能を持つ150人を2020年度の「現代の名工」に選んだと発表した。表彰式は9日に東京都内のホテルで開かれる。
現代の名工の表彰制度は技術者の地位向上を図り、将来を担う優秀な技能者を確保、育成するのが目的。産業の発展への貢献などを条件に、都道府県や業界団体の推薦があった人の中から、近年は毎年約150人を選んでいる。
表彰は1967年度から毎年1回行われ、表彰者は本年度を含め6646人となった。
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20年度「現代の名工」のうち、兵庫県関係者7人の主な業績は次の通り。(森 信弘)
川添卓美さん(58)=加古川市、製銑工、神戸製鋼所加古川製鉄所=製銑工として長年、高炉の操業に従事。その技術、技能を発展させ、新たな高炉改修方法の確立にも貢献した。
脇坂治さん(56)=神戸市垂水区、板金工、三菱重工業神戸造船所=加圧水型原子力発電プラントの中核機器である蒸気発生器製作の第一人者。後進育成にも力を入れる。
西村保幸さん(58)=明石市、タービン組立・調整工、三菱パワー高砂工場=発電用蒸気タービンを制御する主要弁などの組立・調整に卓越している。海外で技術指導も行ってきた。
岩恵広司さん(58)=加古川市、機械修理工、神戸製鋼所加古川製鉄所=製鉄所設備の建設や保全の技能を磨き、安全性、生産性、品質の向上に寄与した。多くの技能士も育てた。
作花好行さん(55)=神戸市北区、機械保全工、クボタ阪神工場=耐震性や防食性などの高品質化が進む水道管の安定供給に貢献した。熟練作業の機械化にも取り組む。
武田利史さん(57)=尼崎市、日本料理調理人、四季の彩・旅篭=卓越した技能を持ち、「日本食普及の親善大使」として、日本料理の魅力を世界に情報発信している。
藤井剛さん(52)=加古川市、型打鍛造工、神戸製鋼所高砂製作所=高度な技能が必要とされる「フランジ成形機」で、操作の経験が浅くても対応できる技術を確立した。