神戸市が民間の運送会社に貸し出した同市灘区の市有地（約１万２千平方メートル）について、賃料の滞納が２０１４年以降で計約１億２６００万円に上ることが６日、分かった。市は９月に賃貸借契約を解除し、１０月には現在占有している別の会社も含めた２社に対し、滞納分の支払いなどを求めて神戸地裁に提訴した。

　市港湾局によると、灘区摩耶埠頭（ふとう）にある市有地で、０６年に大阪市の運送会社「大翔運輸」に対し月額約４３０万円で貸す契約を締結。しかし１４年から一部滞納が始まり、１６年２月までに未納額は約６千万円に膨らんだという。同社は同月、神戸市に対し、契約の名義を市内の運送会社に変更するよう要請。市は未納分の全額納付を条件としたが、許可がないまま神戸の会社が使い始めたという。

　市と大翔運輸の契約は、滞納が９０日を超えるなどした場合は解除できると規定。だが市は神戸の会社が当初は月々の賃料を支払い、過去の滞納金も納める意思を示していたため「契約を残したまま債務回収に向けた協議を２０回以上行ってきた」と説明。結局、１７年から今年９月までの賃料の大半が未払いとなり回収困難と判断した。（初鹿野俊）