理化学研究所(理研)は17日、神戸・ポートアイランドに整備中のスーパーコンピューター「富岳」が、計算速度ランキング「トップ500」などスパコンの性能を示す主要4部門で2期連続の世界一になったと発表した。初めてフルスペック(全計算機の能力)を反映し、「トップ500」では先代機「京」の42倍以上の性能を達成した。(霍見真一郎)
「富岳」が世界1位を獲得したのは、「トップ500」▽産業利用などにおける処理能力の「HPCG」▽ビッグデータを処理する性能の「グラフ500」▽人工知能(AI)における性能を測る「HPL-AI」の4部門。
いずれも1年に2回ランク付けされ、オンラインで開催中のHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング=高性能計算技術)に関する国際会議「SC20」で発表された。「京」も「トップ500」で2期連続1位を達成している。
「富岳」は432台の計算機全てを使ったフルスペックでの計算速度として毎秒44京2010兆回をたたき出し、前回6月に公表された41京5530兆回を更新した。2021年度の本格運用を目指す。2位は、米国のスパコン「Summit(サミット)」の14京8600兆回で、富岳はその3倍の計算速度を誇る。
理研計算科学研究センターの松岡聡センター長は「突出して世界最高性能であることを再び示すことができた。富岳は今後、新型コロナウイルスに代表される多くの困難な社会問題を解決し、わが国のイノベーションを先導していくだろう」などとコメントを出した。
【井戸敏三・兵庫県知事のコメント】既に新型コロナウイルス対策のため、さまざまな研究での活用が始まっており、実力の一端が示されている。世界最先端の科学技術基盤が集積するここ兵庫・神戸のシンボルとして、基礎科学と産業の発展に大きく貢献していくことを期待する。
【久元喜造・神戸市長のコメント】わが国の科学技術の高さを証明するもので、尽力された皆さまに深く敬意を表する。神戸医療産業都市で供用開始される富岳が感染症への対応をはじめ、科学技術の発展や産業競争力の強化につながる画期的なイノベーションの創出を大いに期待している。
