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被害当時のメモを手に特殊詐欺の経験を話す男性(画像の一部を加工しています)=神戸市垂水区本多聞3、垂水署
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被害当時のメモを手に特殊詐欺の経験を話す男性(画像の一部を加工しています)=神戸市垂水区本多聞3、垂水署
女性は「思い出すのもいやだが、私の経験を教訓にしてほしい」と語った=神戸市垂水区本多聞3、垂水署
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女性は「思い出すのもいやだが、私の経験を教訓にしてほしい」と語った=神戸市垂水区本多聞3、垂水署
神戸新聞NEXT
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 お年寄りを狙った特殊詐欺が後を絶たない。兵庫県内の今年の被害は876件に上り、10月末時点で早くも過去10年間の最多を記録した。被害額は14億円を超えている=表。これほど社会問題化しているのになぜ、と思う人も多いのでは。だが、被害者に取材をすると、犯人の巧みな手口が見えてきた。(小谷千穂)

 話を聞いたのは、神戸市垂水区に住む80代の男女。

 女性(80)は7月、警察官を名乗る男らにキャッシュカードをだまし取られ、犯人に200万円を引き出された。

 男性(81)は8月、「医療費の還付金がある」と電話を受け、現金自動預払機(ATM)を操作して387万円を何者かの口座に送金してしまった。

 2人とも、始まりは一本の電話だった。

 女性は「垂水署生活安全課のものです」、男性は「神戸市役所健康保険課のハセガワです」と受けた。

 実在する団体や個人の名前だったので疑わなかったという。女性は、はきはきした若い女の声を聞き「垂水警察といったら普段から注意してくれている身近な存在ね」と安心した。

 男性も「行政の手続きか」と迷いなくチラシの裏紙にメモを取り始めた。

 犯人は、被害者に落ち度があるような話術で被害者を引き込む。

 「奥さん名義の口座から10万円ずつ引かれていますよ。キャッシュカードはちゃんと持っていますか」

 電話は警察官を名乗る若い女から男に代わり、急に問い詰められた。「ええっ」。口が開いたままになった女性。「カードは手元にある。そんなこと絶対ないはず…」と返したものの不安が広がった。

 「捜査に協力して」と指示されるころには、言われるがままになった。

 男性は「書類を4月ごろに送ったのですが届いていませんか」と問われた。「多く払った医療費2万3368円を還元するための書類」との説明だった。

 家の中を5分ほど探したが見つからない。「コロナ禍でばたばたしたからかな」と諦めかけると、「申請したらできる」と言われて安心し、指示に従った。

 いつの間にか、女性は電話口で暗証番号を伝えていた。それまで他人に言ったことはない。被害が分かった後も「いつ言うたんやろ」と記憶がない。

 犯人は、質問を途切れなく女性にぶつけてきた。

 「普段使っている銀行は」「カードに金色のチップは付いているか」「息子はどんな仕事か」-。

 通話は約3時間。女性は昼ご飯も食べられず「疲れ果てて何も考えられなくなっていた」と振り返る。

 直後に家を訪れた男は、被害品と思わせるためか、はさみで女性のカードに数センチ幅の切り込みを入れ「警視庁に送る」と持ち帰った。机には、指示されてさまざまな数字を書いたメモ用紙。後で見返すと、暗証番号も書いた跡があった。

 男性は犯人に「ATMで書類を作る」と言われ、携帯電話でやりとりしながら銀行ATMを操作した。

 普段は現金を引き出す時にしか使わない。「全部教えますから」と矢継ぎ早に指示を受け、画面上のボタンを慌てて押した。

 「976123」。振込金額とは気付かない。他の口座へ振り込みができるとは知らなかったからだ。「知っていればもっと注意していたかも…」

 男性はこの日から続けて4日間、計6回操作させられ、1回で47万~98万円を振り込んだ。後で明細を見ると「振込」の文字に気付いた。「昔は、お金のやりとりはすべて対面だった。便利な時代になるのはいいが、銀行は高齢者が被害にあわないシステムをしっかりつくって」と切実だ。

■常に留守番電話を 県警「話せば思うつぼ」

 兵庫県警は「電話に出れば口がうまい犯人の思うつぼ」だとして、常に留守番電話に設定し、メッセージを聞いたり電話番号を調べたりしてから折り返すことを推奨している。高齢者宅の固定電話に録音機を取り付ける活動も始まった。

 「電話でお金の話が出れば詐欺、との認識を持ち、必ず家族や警察など第三者に相談して」と求めている。

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