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約70年前の神戸洋家具とされる監査委員室の机=神戸市中央区下山手通5
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約70年前の神戸洋家具とされる監査委員室の机=神戸市中央区下山手通5
兵庫県庁の監査委員室で机を検分する神戸洋家具の若手経営者ら=神戸市中央区下山手通5
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兵庫県庁の監査委員室で机を検分する神戸洋家具の若手経営者ら=神戸市中央区下山手通5
木工技術の継承を目的に、神戸木工センターで開かれている教室=神戸市垂水区小束山本町1
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木工技術の継承を目的に、神戸木工センターで開かれている教室=神戸市垂水区小束山本町1
神戸洋家具のメーカーが集まる神戸木工センター=神戸市垂水区小束山本町1
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神戸洋家具のメーカーが集まる神戸木工センター=神戸市垂水区小束山本町1

 兵庫県庁では、今でもアンティーク(骨董(こっとう)品)の洋家具が使われている-。こんなうわさを聞きつけた神戸の家具製造販売会社の社長らが、真偽を確かめようと鑑定に向かった。神戸は明治時代から洋家具の産地で知られるが、空襲で顧客名簿などが失われ、古美術品のような価値を持つ家具の多くは所在が分からない。さて、鑑定の結果はいかに-。(塩津あかね)

 兵庫県の地場産業である「神戸洋家具」を手掛ける企業の経営者ら4人が9月中旬、県庁に集まった。出納の適否を点検する「監査委員」の部屋にある机4脚を、塗料や金具を手がかりに製造年月の特定に乗り出した。

 重厚感のある木製の机は素人でも上等な作りだと分かる。このうちの1脚を使う代表監査委員の四海(しかい)達也さんは「貴重なものだと聞いているが、資料がなく、詳細は不明」と話す。

 鑑定人たちは表面をなでたり、分解したりして部材などを調べた。国産のナラの無垢(むく)材を使用し、機械ではなく、のこぎりで手びきして切断していることが分かった。

 塗装には、はけを使ったことをうかがわせる独特のむらがあった。家具の塗装は1990年ごろに技術が確立された塗料の吹きつけが主流で、監査委員室の机は少なくとも30年以上前に作られたことは確実という。

 神戸洋家具の特長もみられた。天板の縁を丸く削り、机の足の形状が丸みを帯びている。鑑定メンバーの一人、「永田良介商店」(神戸市中央区)6代目店主の永田泰資(たいすけ)さん(35)は「神戸であつらえたのは間違いない」と断言する。

 永田良介商店では、60~70年前に作られた類似の机を最近修理したことがあるという。四海さんは、自治体の監査委員制度が確立された昭和20年代に新調されたと推測。永田さんはこれらを総合して「机は70年近く前から使われている」とみる。国産のナラ材は減っており、「これだけの材料を使って加工賃を考えると、1脚200万円は下らない」という。

 県庁では現在、大半の机がスチール製に代わっている。この木製机が現存するのは、四海さんを除く監査委員3人が非常勤で使用頻度が低く、大きな損傷を免れたことが要因とみられる。県庁内には他にも古い木製机があるといい、メンバーは「神戸洋家具かどうか見極めたい」と口をそろえる。

 一般的に家具は、完成から100年以上たつと「アンティーク」と称され、古美術品のような付加価値を帯びるとされる。日本の洋家具でアンティークは珍しく、「修理すれば、何世代にもわたって受け継ぐことができる。古い洋家具を捨てないでほしい」と、メンバーは呼び掛ける。

■神戸洋家具、起源は船大工の技

 神戸洋家具は、在留外国人への修理サービスを端緒に、明治の初めごろから作られた。船舶が行き交う神戸に集まった船大工の技術が土台とされる。高級家具として人気を集めたが、婚礼家具の需要減などに加え、「ニトリ」や「イケア」などの低価格品に押されて往時の勢いを失っている。

 神戸ファッション協会(神戸市中央区)によると、神戸洋家具の1998年の売上高は117億円だったが、2017年に32億円に激減。この間に従業員は102社の830人から24社266人にまで縮小した。

 洋家具メーカーが集積する神戸木工センター(神戸市垂水区)の入居企業数も65年の開設時は47社だったが、現在は8社。洋家具の専業メーカーはなく、大手住宅会社から据え付け家具やシステムキッチンの製造を請け負う。

 同センターの是澤俊作理事長(70)は「100年たっても、修理すれば使えるような高い品質を備える」と強調。優れた技術を継承するため、7年前から木工教室を開き、家具工房を構えた職人もいる。神戸洋家具の技術は再評価され、近年は家の利用しにくい空間を活用する「隙間家具」の注文が増えているという。

 兵庫県家具組合連合会もホームページで職人の動画や家具を紹介しており、「まずは魅力を知ってほしい」としている。神戸木工センターTEL078・784・5005

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