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10月1日付でプロ棋士になった冨田誠也四段=関西将棋会館
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10月1日付でプロ棋士になった冨田誠也四段=関西将棋会館

 三田市から将棋では初のプロ棋士が誕生した。10月に昇段を決めた冨田誠也新四段(24)。長年、厳しい三段リーグで苦労し、一時は将棋の道を断念しかけた。故郷の友人や師匠の小林健二・九段ら周囲の支えも力に夢のスタートラインに立った今、「人に感動してもらえる将棋を指したい」と力を込める。(溝田幸弘)

 4~9月の第67回奨励会三段リーグで14勝4敗と2位に入り、昇段を決めた。17歳で三段リーグ入りしてから15期、7年半。「こんなに長くなるとは思っていなかった」と振り返る。

 3月。大阪の下宿を引き払い、故郷の三田に戻った。第66回三段リーグで6勝12敗と大きく負け越し、自信をなくしていた。「プロになれないのを覚悟した。奨励会幹事の先生から退会届ももらっていた」

 弱った気持ちを立ち直らせたのは、長坂中学校時代の友人。「『今一番したいことはなんなんや』と聞かれ、将棋以外のことが見つからなかった。『今のお前は、それだけ将棋を精いっぱいできてるのか』『しんどいのはお前だけじゃない。俺らも頑張るから、お前も頑張れ』と。それでもう一回エンジンがかけられた」

 緑豊かな三田の実家で将棋に没頭した。「三段リーグの7年半を振り返っても、その半年ほど将棋に向き合った時間はなかった。それも努力をしているというより、自分の好きなことができる幸せを感じながらやっていた」

 コロナ禍で遅れて6月に始まった三段リーグは開幕5連勝し、その後も好調を維持。リーグ最終日、2連勝すれば自力でプロ入りが決まるところまでこぎつけた。

 ところが、1局目は「今期一番の作戦負け」をしてしまう。苦しい局面が続き、「やっぱりプロには届かないのか」との思いが浮かび、「暴発気味に攻めてしまえ」との考えも頭をよぎった。

 しかし、対局前に受け取った励ましの声が無理攻めを思いとどまらせた。「この対局は泥臭くても勝つ」。辛抱し、粘って逆転勝ちを手にした。

 2局目、勝てば夢がかなう。有利に指し進め、最終盤、相手の手を見て勝ちを確信した。手洗いに立ち、鏡を見ると自分の目が潤んでいた。「退会まで覚悟していたのに、これに勝てばプロになれるんだ」。気持ちを落ち着かせて戻ったが、指す時は手が震えた。

 昇段を決めて、師匠の小林九段に電話をした。この半年、奨励会の成績が発表されるたび励ましのメールをもらっていた。「今期は特に、一緒に戦っているつもりで見ていた」と小林九段。冨田新四段は「昇段を報告したら涙が出てきた。おそらく師匠も泣いていたと思います」と話す。

    ◆   ◇

 5歳の時に父から将棋を教わり、三田市内の将棋教室を経て、本庄小3年の時に森安正幸七段の教室へ。「将棋の基礎は森安先生に教えていただいたと思っています」。小4でプロを目指すようになり、同世代の強い子が多い小林九段の教室で腕を磨き、小6で奨励会に入った。

 振り飛車党だが「対抗形が好きで、居飛車も指す」という。「甘い世界ではないけれど、もっと実力をつけてタイトルを取りたい。普及の面でも将棋の面白さを伝えていきたい。人に面白いと思ってもらえたり、感動してもらえたり、そんな将棋を指したい」。笑顔で語った。

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