
神戸で生まれた男性5人のアカペラグループ「チキンガーリックステーキ」が今年、30周年を迎えた。全国ツアーなど記念行事で節目を飾る予定だったが、新型コロナウイルスの影響でライブは軒並み中止。試練の年になった。それでも来年には新アルバム発表を予定。リーダーで最年長の川上伸也さん(61)は「メンバー全員がアカペラ好きなので、ここまでこられたと思う。40年、50年を目標に頑張りたい」と力強く誓った。(津谷治英)
年末の神戸ハーバーランド。ライブハウス「神戸煉瓦倉庫・K-wave(ケー・ウエーブ)」に、透き通った歌声で名曲「スタンド・バイ・ミー」が響き、ファンを魅了した。
川上さんが兵庫・西宮出身で、残り4人が神戸出身と生粋の地元グループ。メンバーは曲目によってテナー、バリトン、ベースの音域に分かれ、メロディーと歌詞を構成してきた。和洋のポップスやオリジナル曲を歌い、幅広い年齢層に支持されてきた。
NHKの「みんなの歌」で注目されるなどテレビ、ラジオで活躍。地元での公演も欠かさず、毎週水曜日に「K-wave」で定期ライブを開き、年間約100の舞台をこなしてきた。昨年は18枚目となるアルバム「花」を発売した。
しかし今年は新型コロナの影響で2月末から活動を休止。全国の教会を巡るツアーも中止になった。合同の練習もできず、創設以来の危機に陥った。最年少で編曲を担当する渡辺敦さん(45)は「公演収入が絶たれ死活問題に。もう活動できないのではと、不安になった」。
そんな中オンライン配信などでファンへ歌声を届け続けた。クラウドファンディングの支援も呼び掛け、約650万円が集まり、何とかしのいできた。7月から感染予防に配慮しながら公演を再開。地道に活動を続ける。
新アルバムはメンバー全員でアイデアを募り、オリジナル曲を集めた。現在、レコーディング中で、広報担当の前澤弘明さん(57)は「来年は新たなスタートの年にしたいとの願いを込めた。これからも低音の歌声の魅力を伝えていきたい」と話した。
来年1月17日午後3時から、神戸市中央区の神戸聖愛教会でライブを予定。4千円。CGSステーションTEL070・2324・8243。
