生活雑貨量販店の「東急ハンズ三宮店」(神戸市中央区)が31日、閉店した。繁華街・三宮のランドマークとして長く親しまれてきたが、32年間の歴史に終止符を打った。
1988年3月に開業し、関西では2番目の大型店。家具や文具などおしゃれで豊富な品ぞろえで若者を中心に支持を集めたが、雑貨販売に新規参入する他業態や、インターネット通販などとの競争が激化。新型コロナウイルスの感染拡大で、一時休業したことも追い打ちをかけ、撤退を余儀なくされた。
この日は閉店に伴う「大感謝セール」に訪れた客でにぎわった。
会社員女性(23)と妹の大学生(18)=神戸市中央区=の2人は子どもの頃から店に通っていた。「小学生の頃は文房具、大人になってからは化粧品を買いに来た。友達との待ち合わせ場所にもしていた」と凜音さん。最後の姿を写真に収めようと、店の前でスマートフォンのカメラを向けていた。
同市須磨区の会社員男性(44)は、息子(12)と訪れ、趣味の鉄道ジオラマ制作に使う板を購入。健明さんは開店当初から通っているといい、「ホームセンターにない商品があり、店員も親切。建物の中は複雑だけど、かえって迷路に入り込んだ感覚になって楽しかった。なくなるとさみしいですねぇ」としみじみ。
閉店時間の午後6時、一人、また一人と店を後にした。最後の客を見送った岡田勝店長は「山あり谷ありの道のりだったが、従業員全員で知恵を出し合い、努力してきた。お客様の『ありがとう』に支えられ、感謝の気持ちでいっぱい」とあいさつ。
従業員らは「32年間ありがとう、神戸。」のボードを掲げた。周囲の客からも「ありがとう」という言葉が飛び、惜しみない拍手が贈られた。(伊田雄馬)











