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被災家屋の床下に入り込んだ泥をスコップで片付ける生徒たち=2020年12月2日、熊本県八代市坂本町(秀岳館高校提供)
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被災家屋の床下に入り込んだ泥をスコップで片付ける生徒たち=2020年12月2日、熊本県八代市坂本町(秀岳館高校提供)
ボランティア活動の思い出を中川静也校長に語る生徒たち=熊本県八代市興国町、秀岳館高校
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ボランティア活動の思い出を中川静也校長に語る生徒たち=熊本県八代市興国町、秀岳館高校

 九州で死者77人、行方不明2人の被害を出した九州豪雨から4日で半年。被害の大きかった熊本県では、八代市の秀岳館高校の生徒たちが被災家屋の片付けなどのボランティア活動で奮闘している。発災3日後から昨年末までに計87日間活動し、延べ6125人の生徒が参加。活動の原点は、26年前の阪神・淡路大震災にあった。(竹本拓也)

 「ボランティアに行かせてください」。地元での大災害に心を痛めた生徒たちが中川静也校長(89)に直訴したのが始まりだった。中川校長は教職員の先遣隊を被害の大きい県南部へ派遣し、生徒の安全に支障がないと確認できた地域で、7月7日から活動をスタートさせた。

 保護者の許可を得た運動部員を中心に、連日100~300人が八代市内や人吉市などで活動した。長袖、長ズボンにマスクを着けて泥をかき出し、家財道具を運び出す作業などに汗を流した。新型コロナウイルス感染防止のため県外ボランティアの被災地入りが困難な中、ふるさと再興の支えとなった。

 2年の平石健司さん(17)は「若い人が全くいない地域も多かった。高齢者の方に涙ぐんで『ありがとう』と言われたのが忘れられない」と振り返る。

 訪問を重ね、専門的な技術を持った他のボランティアと関わるたびに作業の効率も上がった。「この家がきれいになるまで来させてほしい」と再訪を志願する生徒もおり、現地から依頼された人数を希望者が上回る日も多いという。

 学校側はスクールバスで生徒を送迎し、飲料水や弁当を届けた。ボランティア活動のために欠席した生徒は放課後の補習でカバーした。全日程に同行した中川校長は「生徒たちは教室では学べない経験をしてくれた。若い力が高齢者を支えることのすばらしさに気付かせてくれた」と話す。

     ◇

 同校は体育系の部活動が盛んな私立校で、全校生徒の約半数が寮生活を送る。関西出身の生徒も多い。その縁から、1995年の阪神・淡路大震災では発生当日から1週間、毎日300人以上の生徒が街頭で義援金を呼び掛け、数百万円を被災地に届けた。

 当時から勤務する白井勇教頭(57)は「誰も人ごとと思わなかった。阪神・淡路は、自分たちが何かできることはないかと考えるボランティア精神の原点だった」。伝統を受け継ぎ、同校は県内のこれまでの豪雨災害や2016年の熊本地震などで学校を挙げてボランティア活動に関わってきた。

 生徒会長の3年、時田萌美さん(18)は「阪神・淡路の時にすぐにボランティア活動に動いた先輩たちの精神は今も受け継いでいる。自分たちにできることはまだまだある。今後も心のふれあいを重ねたい」。

 昨年の最後の作業は12月18日に終えた。これまでにコロナ感染者は1人も出ていない。今後も1日当たり20~30人規模で活動を続ける。同校はフェイスブックで活動リポートを公開している。

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