大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)で2001年に起きた児童殺傷事件を基に創作された舞台「丈夫な教室」が14~17日、伊丹・アイホール(兵庫県伊丹市伊丹2)で上演される。子ども時代に事件に巻き込まれ、傷痕に苦しみながらも前向きに生きる道を懸命に探る人々の姿を描く。事件から間もなく20年。作・演出の小原延之さんは「学校のシステムではなく、被害者の心の中の問題として描きたい」と話す。(溝田幸弘)
夜の教室に3人の同級生が集まった。二十数年前に自分たちが書いた落書きが、再び子どもたちの机に刻まれている、といううわさを確かめるためだ。「ハサミ男がやって来る」。その言葉は、彼女たち自身の傷痕でもあった-。
04年、小原さんが当時座長を務めていた「劇団そとばこまち」による初演は、わずか9カ月後に異例の再演となるほど高い評価を受けた。約16年ぶりとなる今回は、アイホールの企画「現代演劇レトロスペクティヴ」の一環で、丹下真寿美さん(T-works)ら若い世代の俳優たちと再創作に挑む。
小原さんの作品には、尼崎JR脱線事故をモチーフにした「鉄橋の上のエチュード」もある。共通するのは、人生を狂わされた被害者の心に対する真摯(しんし)なまなざしだ。平穏な日常を取り戻せず絶望する人、それでも歯を食いしばって立ち上がろうとする人…。多様な人物像を、真に迫ったエピソードで掘り下げていく。
事件後、学校や社会の状況は大きく変化した。小原さんは「年月が経過すると、どんな問題が起こるか。どんな救いがあるのかを考える機会になれば」と話している。
14、15日午後7時、16日午後2、6時、17日正午、午後4時開演。3500円。同ホールTEL072・782・2000(火曜休館)









