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ポンプ車の前に立つ西脇生奈さん=高砂市伊保4、同市消防本部
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ポンプ車の前に立つ西脇生奈さん=高砂市伊保4、同市消防本部

 今年、新成人を迎える兵庫県高砂市消防本部の消防士、西脇生奈(せな)さん(20)には、振り袖姿を見せたかった人がいる。幼い頃、火災で命を落とした祖母の洋子さん=当時(65)=だ。西脇さんは、その記憶から人命救助の道を志した。「もう誰も悲しませない」。亡き祖母との誓いを胸に11日、高砂市で予定されている成人式に臨む。(千葉翔大)

 西脇さん一家とは別々に暮らしていた洋子さんは、夫婦で中華料理店を経営していた。

 「何でも食べさせてくれて、天津飯がおいしかった。味は今でも忘れられない」。西脇さんが膝や頭に擦り傷をつくれば、「これで治るはず」と消毒液の代わりに、料理店で使うごま油を塗ってくれた。

 火災が起きた時、高砂市の自宅で寝ていた西脇さんは、母の話し声で目が覚めた。「洋子ばあちゃんが中におる」。1階の調理場から出火し、2階の寝室にいた洋子さんが逃げ遅れたと聞かされた。

 木造2階建ての店舗兼住宅は全焼。焼け跡から洋子さんの遺体が見つかった。

 「当時は、人が死ぬということが理解できなかった。父や母が悲しむ姿を見て、重大さに気付かされた」。その時を境に、周りの人たちを悲しませたくないと強く思った。将来の夢として、火災を防ぎ、人の命を救う消防士が脳裏に浮かぶようになっていった。

 ただ、消防士は男性が多くを占める。中学校や高校では、男女の体力差から「女の子じゃ無理」「そんなぬるい世界じゃない」と心ない言葉を浴びた。手をたたいて笑われたこともある。でも、揺るがなかった。

 勉強は好きではなかったが、公務員試験のため、高校3年から毎日5時間ほど机に向かい、約30分間のランニングも欠かさなかった。その結果、高砂市消防本部の採用試験に合格。同本部で初の女性消防士になった。

 現在は総務課に所属。予算の執行や消防施設の管理を担当する一方、交代制で火災、救急の現場にも指揮隊員や救急隊員などとして出動する。

 新型コロナの急激な感染拡大で開催が心配された今年の成人式だが、兵庫県内の多くの自治体は10、11日に実施する予定だ。

 「祖母も、消防士になったことをきっと喜んでくれている」と西脇さん。「訓練でも現場でも、男性消防士との体力差を痛感することはある。でも、火災を起こさないために、女性消防士としてできることをもっと探していく」と力を込める。

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