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 阪神・淡路大震災の被災者らが入居する兵庫県内の「災害復興住宅」で、入居者に占める65歳以上の割合(高齢化率)が2020年11月末時点で、過去最多の54・3%になった。一方で、復興住宅の見守りを続けていた神戸市は3月で事業を終える見込みで、孤立防止へ新たな支援が課題となりそうだ。

 復興住宅は県内11市に、県営、市営のほか、都市再生機構(UR)からの借り上げを含めた計233棟がある。

 20年の入居者2万8714人(被災者以外含む)のうち、65歳以上は1万5596人。01年の高齢化率40・5%から徐々に上昇し、14年に5割を突破。20年は前年比0・7ポイント増の54・3%に上った。

 1人暮らしの高齢者世帯も同様の経過をたどる。20年は1万7480世帯中、49・7%に当たる8694世帯が単身で、01年(34・4%)から15・3ポイント上昇。子ども世代の独立や配偶者の死亡などで、単身で暮らす高齢者が増えたためとみられる。

 一般の県営住宅は20年11月時点で、高齢化率が40・1%、1人暮らしの高齢者世帯が32・4%であることからも、復興住宅の高齢化の深刻さがうかがえる。

 誰にもみとられずに高齢者らが亡くなる「独居死」も相次いだ。県や各市が見守り事業を行ってきたが、財源となる阪神・淡路大震災復興基金が枯渇し、17年度までに7市が事業を取りやめた。

 兵庫県立大大学院の室崎益輝(よしてる)教授(防災計画)は「復興住宅は高齢化が目立つ上、コロナ禍で訪問活動がままならず独居死が進む恐れがある。見守りには特殊性を考慮した工夫が必要」と話した。(藤井伸哉)

■神戸市見守り33拠点閉鎖 復興住宅特化、3月末まで 既存の地域福祉で補完

 被災自治体で最後まで災害復興住宅に特化した見守りを行ってきた神戸市。「高齢者の孤立は全市的な問題」として20年度で終了する。21年度以降は既存の地域福祉の枠組みで補う考えで、活動への補助制度も新設した。

 同市は復興住宅の集会所などに拠点を設けて、常駐の支援員が住民同士のコミュニティーづくりを図り、自宅訪問や介護サービスの利用などにつなげてきた。

 復興住宅は他の公営住宅よりも高齢化率が高い上に、元々つながりのない人らが入居し、住人の孤立化が課題とされた。同市は01年度から安否確認などを担うスタッフを配置。06年度には空き住戸や集会所に「あんしんすこやかルーム」を開設。委託先の支援員が常駐し、茶話会や体操を通じて人の輪を育み、生活相談などに応じてきた。

 17年度まで財源とした「阪神・淡路大震災復興基金」が枯渇したため、18年度からは県の補助を受けて継続。しかし、費用負担が大きく、高齢者の孤立化は「復興住宅に限った問題ではない」との観点から、廃止することにした。

 3月末に33ある同ルームを全て閉鎖する。市は「これまでに育ったコミュニティーが続くよう支えていく」としている。(初鹿野俊)

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