兵庫県にも緊急事態宣言が再発令され、17日を中心に予定されていた阪神・淡路大震災26年の追悼行事などで中止や規模の縮小が相次いでいる。主催者からは「震災の教訓を継承する貴重な機会だが、命を守るために仕方がない」との声が聞かれた。
震災で甚大な被害を受けた神戸市長田区では、17日に予定されていた行事が軒並み中止に。JR新長田駅前にろうそくで文字を浮かび上がらせる「1・17KOBEに灯りをinながた」は、混雑を避けて会場を若松公園・鉄人広場(同区若松町6)に移し、発光ダイオード(LED)使用に切り替えるなどの感染防止策を講じる。実行委員長の金宣吉さん(57)は「助け合い、復興してきた神戸の記憶を継承したかった。できる限りの対策を工夫したが、残念だ」と肩を落とす。
北淡震災記念公園(淡路市)での17日の行事は、淡路島にある実家が全壊したシンガーによる鎮魂の独唱を取りやめた。同公園総支配人の米山正幸さん(54)は「感染が拡大している状況で歌うことは適当でないと判断した」という。県などが17日に主催する「ひょうご安全の日のつどい」も、人と防災未来センター(神戸市中央区)での黙とうや献花などに内容を絞り、ステージや防災訓練、若者による防災活動の紹介を中止にした。
このほか、神戸メリケンパークオリエンタルホテル(同区)は毎年1月17日、旧オリエンタルホテル(同区京町)の全壊で移設された灯台を公開してきたが、今年は中止に。同ホテルは「被災した神戸港を照らしてきた希望の光。風化させないよう、多くの人に見てもらいたかった。苦渋の決断だが、安全安心には代えられない」とした。(佐藤健介)
