新型コロナウイルス禍に見舞われた2020年、経済・社会活動や、人々の対面での交流が制限され、阪神・淡路大震災の経験や教訓を伝える活動も大きな制約を受けた。被災者の高齢化が進み、震災を知らない世代が活動を担うが、大半が中止や規模縮小などを余儀なくされた。21年に入って感染拡大の勢いは強まり、収束は見えない。記憶のバトンをつなぐための知恵と覚悟が問われている。
26歳以下が中心の兵庫県内団体の防災・減災活動などを対象に最大15万円を助成する「ひょうご安全の日推進県民会議」の若者支援事業。19年度は17件の応募があったが、20年度は1月8日時点で5団体にとどまる。
1月17日当日の追悼行事や討論会なども、緊急事態宣言などを受けて中止などが相次いだ。こうした中、神戸・東遊園地で毎年催される「1・17のつどい」は感染対策に配慮して開催された。
藤本真一実行委員長(36)は「中止するのは簡単だが、被災者、遺族にとって震災26年の1・17は二度とない。感染対策を徹底すれば開催できるというメッセージを、東日本大震災など全国の被災地にも届けたかった」と話す。
つどいでは灯籠を前日から点灯し、分散来場を呼び掛けた。17日午前7時時点で参加者は前年の3分の1の約2500人、午後8時時点でも前年の4割の約2万2千人にとどまり、過去最少となった。(竹本拓也、金 旻革)
