神戸製鋼所の石炭火力発電所の増設計画を巡り、環境影響評価法などで提出が定められている環境大臣の意見書について、計画の許認可権限を持つ経済産業省が事前に確認し、一部表現の修正・削除を求めていた問題で、国は「経産省の意見は情報提供ないしコメントとして位置づけられるべきもの」として、違法性はないと主張した。
同計画に反対する神戸市内の住民らが大阪地裁で起こしている行政訴訟で、見解を示した。訴訟は20日に結審する。
環境影響評価(アセスメント)手続きでは、環境相は環境保全の見地から意見を述べると規定している。
神鋼の計画では、環境相は当初の意見案で、石炭火力が天然ガス火力に比べて二酸化炭素排出量が多くなることや、神鋼に対し大気汚染物質の排出を増加させないことなどを求めた。ところが、これに対して経産省が激しく反発。削除や修正を求め、環境省側も応じていたことが、原告らの情報公開請求で分かった。
原告側は「アセスを骨抜きにしてしまっている」として違法性を指摘しているが、国側は「経産省の意見は発電所事業の特性を踏まえた情報提供やコメント。内容の充実に資することはあっても害を及ぼすような事態は想定し得ない」と反論した。(前川茂之)
