離婚や虐待、病気などさまざまな理由で保護者の養育が困難な子どもを親代わりになって育てる「里親制度」を普及させようと、神戸市がアニメーションを制作した。エッセー漫画「大家さんと僕」がベストセラーになったお笑い芸人の矢部太郎さんが、イラストとナレーションを担当。独特のほんわかしたタッチの絵と声で「まずは知ることから始めてみませんか」と市民に訴えている。
同市内で親と暮らせない子どもたちは、昨年11月1日現在で477人に上る。2019年4月の里親登録は133世帯で、委託されている児童は59人。委託率は12・6%と全国平均の20・5%(19年3月)に比べて低く、同市は登録数の増加と委託の推進を目指して広報活動に力を入れている。
アニメーションのタイトルは「里親さんと僕」。夏休みや週末だけの受け入れも可能なことなどを説明した「里親制度」編と、親と暮らせない子どもの中で里親と暮らしているのは同市では1割であることを示した「データ」編の2本。矢部さんが市民に直接メッセージを送る動画も制作した。
ナレーションの収録では、矢部さんは語り掛けるような優しい口調で声を吹き込んだ。「制度に詳しくない方に親しみを持ってもらえるように心掛けた」といい、「自分自身も里親を知るきっかけになった。たくさんの方に伝われば」とアピールする。
動画は25日から順次、同市のホームページやJR三ノ宮駅前の「ミントビジョン」などの街頭で公開される。(今福寛子)
