神戸製鋼所が神戸市灘区灘浜東町で進める石炭火力発電所の増設計画で、環境影響評価(アセスメント)の手続きに違法性があるとして、周辺住民ら12人が計画を認めた経済産業相の確定通知を取り消すよう求めた行政訴訟は20日、大阪地裁(森鍵一裁判長)で結審した。判決は3月15日。
原告の女性(69)=同区=がこの日、「誰の何のためのアセスなのか。裁判所には住民の声を受け止め、未来のための公正な判断を求める」と意見陳述した。
原告側弁護団は最終弁論で、アセスでは微小粒子状物質「PM2・5」が調査や評価の対象外になっているとし、「現状の技術で予測・評価するべき」と訴えた。また、行政訴訟を起こす資格(原告適格)がないとする国側の主張は「二酸化炭素による気候変動は全ての国民の生命や健康を侵害するもの」と指摘した。
増設計画を巡っては神戸地裁でも、周辺住民らが神鋼など3社に建設や稼働の差し止めなどを求める訴えを起こし、裁判が続いている。
