神戸市は、ごみの不法投棄が相次ぐ西区や北区の山間部で、可動式監視カメラの運用を始めた。山間部など人目につかない場所まで車で運んで捨てるケースが多いことから、ナンバーを記録してごみを捨てた人を特定するほか、抑止効果にも期待する。(長谷部崇)
市内で確認された不法投棄の件数は、減少傾向にあるが、2019年度だけでも300件以上が確認されている=グラフ。場所は西区や北区の山間部に集中しており、リサイクル料金がかかる廃家電や処理手数料が必要な大型ごみが目立つという。
市環境局は、西、北区の出張所に2人ずつ職員を配置してパトロールに当たらせているほか、両区の住民計142人を「民間不法投棄監視員」に任命して、目を光らせている。
一方、目撃情報がない不法投棄のごみから犯人をたどるのは難しく、その処分は被害者である地権者が引き受けざるを得ないのが実情だ。不法投棄は、地権者に経済的負担を強いるだけでなく、市にとっても、登記簿などを調べて地権者をたどる作業などの負担が大きいという。
可動式監視カメラは、ソーラーパネルを使って24時間録画できる。昨年末に1台を導入しており、今後増設していく方針。西、北区で不法投棄が繰り返されている約30カ所のほか、山間部を通る幹線道路もカバーする。市環境局は「西区や北区の自然環境は神戸の資産。市全体で不法投棄させない環境を構築したい」としている。
