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「日本の漁業全てを、持続可能なものに変えていかなければ」と語る山口浩さん=神戸市中央区山本通3
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「日本の漁業全てを、持続可能なものに変えていかなければ」と語る山口浩さん=神戸市中央区山本通3
昨年11月、オンラインで開催された国際シンポジウムで講演する山口浩さん
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昨年11月、オンラインで開催された国際シンポジウムで講演する山口浩さん

 国連が推進する「持続可能な開発目標」(SDGs)に伴って水産資源保護に関心が高まる中、神戸北野ホテル(神戸市中央区)のシェフ山口浩さん(60)が、「サステイナブル・シーフード(持続可能な魚介類)」実現への取り組みを本格化させている。ホテルやレストランでつくる国際団体の幹部として昨年、数値目標などを盛り込んだロードマップ(行程表)を公表。兵庫県明石市の漁業者らと協力し、漁業から消費までの各段階で水産資源保護を目指す“神戸モデル”構築を目指す。(伊田雄馬)

 山口さんは、「現代の名工」にも選ばれた日本フランス料理界の第一人者。「世界一の朝食」で知られる同ホテルで総支配人と総料理長を兼務し、世界約580のホテルやレストランが加盟する「ルレ・エ・シャトー」の日本・韓国支部副支部長も務める。

 同支部では2019年、水産資源の保護に向けた行動指針を発表。続いて作成したロードマップには、30年までの長期目標に「水産物の80%を持続可能に」など3項目、また3年以内の中期目標として、「水産物の8割を生産者まで追跡可能に」や「持続可能性チェックデータベースの完成」など4項目を盛り込んだ。

 山口さんは20年11月、オンラインで開かれた国際シンポジウムで、この目標を発表した。

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 目標達成に向け、まずは地元の兵庫に目を向ける。初めに協力を呼び掛けたのは、タイやタコが全国的な知名度を誇る明石の漁協。「規格外の小さい魚や少量しか取れない魚は、流通ルートに乗らない現状がある。それらの魚を活用し、料理人がレシピなども考えて加工品を作りたい」と山口さん。同時に、稚魚を残し、卵を産んで繁殖の役割を終えた魚を取るよう漁師に働きかけていくという。

 また、加工品を作るためには設備などの初期投資が必要となる。そこで、理念に賛同する県内の企業数社にも支援を呼び掛けた。

 「料理人の技術や知名度を生かし、持続可能な漁法に取り組む漁業者の中から成功者を生む。それが“神戸モデル”となって全国に広まればいい」

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 世界では、すでに実を結んだ取り組みもある。欧州では「ルレ-」本部の副会長、オリヴィエ・ローランジェさんが旗振り役となり、水産資源の保護を推進。保護対象となった大西洋マグロは徐々に資源量を回復し、逆に各国の漁獲枠を拡大するまでになっている。

 オリヴィエさんと親交が深い山口さんも、その影響で水産資源の保護に関心を持つようになったという。届けたいメッセージは「価値観の転換」だ。「レストランを評価する尺度は、グルメ本の星の数だけではない。『社会貢献の道もある』と、料理人と消費者双方に伝えたい」と意気込む。

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■世界の魚34%乱獲で危機 資源管理へ認証制度開始

 地球規模の人口増などを背景に、魚介類の消費量は世界的に増加傾向にある。国連食糧農業機関(FAO)が2020年に公表した「世界漁業・養殖業白書」によると、1950年に約2千万トンだった消費量は、2018年には約1億8千万トンと9倍に増えた。

 一方、増加する消費を支える水産資源量は曲がり角を迎えている。同白書では、世界の魚の約34%が「維持できない過剰漁獲」と指摘。「適切な資源管理が必要」と訴えている。

 資源管理に向けて、国際的な非営利団体「海洋管理協議会」(本部・ロンドン)は「海のエコラベル」と呼ばれる「MSC認証」制度を考案。持続可能な漁法で取られた魚介類にお墨付きを与えており、日本でも07年からスタートした。

 同制度では、北海道・オホーツク海でのホタテ貝漁や、宮城・静岡近海でのカツオの一本釣りなど、国内の7件が認証済み。兵庫県内では2019年、「マルト水産」(相生市)の垂下式カキ漁業が認証を受けている。(伊田雄馬)

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