兵庫県は2021年度、神戸・大阪(伊丹)・但馬の県内3空港と就航先の地域を結ぶ観光ネットワークの構築に乗り出す。県などの官民でつくる「ひょうご観光本部」が、各地の観光組織や航空会社と連携してPR活動やツアー制作などを進め、教育旅行の生徒や一般客らの行き来を促す。新型コロナウイルス禍で県内の観光産業が深刻な打撃を受ける中、国内旅行の需要を掘り起こす。(森 信弘)
コロナ禍で航空機の東京便は厳しい情勢だが、神戸空港は19年の規制緩和を受けたフジドリームエアラインズ(FDA)の就航で地方路線が充実した。ひょうご観光本部は神戸、大阪両空港の就航先が、東京を除き19道県(20年8月時点)に及ぶことに着目。就航先の観光地域づくり法人(DMO)や観光協会、航空会社との結び付きを強めようと計画した。県は21年度当初予算案に、PR費用などを計上する方針。
このうち、太平洋戦争中に特攻隊の拠点があった兵庫県加西市と鹿児島県鹿屋市は、すでに平和ツーリズムの推進で協力を始めている。これをきっかけに、鹿児島と兵庫でのスカイマーク便などを使った教育旅行の行き来につなげたいという。
また、FDAが就航する青森とも連携が進む。現在、弘前城と姫路城という「城」を生かしたPRで旅行需要の喚起を始めている。21年度は双方の市民を募り、FDA便で互いを訪問し合い、感じた魅力をインターネット上で発信してもらう。
新年度は、先行するこれら2カ所に加え、新たに2カ所程度の連携先を開拓する予定。県は「訪日客受け入れの準備もしつつ、国内客をしっかり開拓したい。旅行ツアーの商品を紹介し合うなどし、新しい人の流れをつくりたい」としている。
