建設機械装置部品製造の二川(ふたがわ)工業製作所(兵庫県加古川市)が、県内の全7工場で使う電力を、自社の太陽光発電だけで賄うことを実現させた。同県稲美町内のため池2カ所に浮かべた太陽光パネルで発電して供給。年間の電気代にして約1億円分に相当し、削減できる二酸化炭素(CO2)は年間約2900トンに上るという。(笠原次郎)
同社は主に油圧シャベルの作動油タンクを作り、従業員約300人が年約70億円を稼ぐ。2011年の東日本大震災発生以降、再生エネルギー産業に参入し、現在は九州や関西、中国、東北地方に太陽光と風力の発電施設を計39カ所所有。発電容量は41・2メガワットを誇り、売電収入は年間約12億円に上る。
7工場は加古川市に4カ所と神戸市西区、兵庫県播磨、稲美町に各1カ所。これらに電力を供給する太陽光発電所は稲美町内の蛸草(たこくさ)と印南(いんなみ)にある。地元の水利組合から土地を有償で借りて設置した太陽光パネルは、2カ所で計約3万2千枚。最大出力は合計で約9メガワットを誇り、年間発電量見込みは一般家庭約2700世帯分に当たる。昨年12月からは全7工場の電力を賄う。
同社と提携する小売り電気事業者のアスエネ(東京)は、ため池2カ所と各工場にメーターを設置。特許出願技術によって、2カ所のため池で生じさせた電力が7工場に届く流れを把握し、電力の“地産地消”を証明している。
環境に配慮した製品やサービスの普及を目指す団体「グリーン購入ネットワーク」(事務局・東京)によると、二川工業製作所の7工場に供給される太陽光発電量の規模は「中小企業のレベルでは国内最大級」という。
同社は今後、風力と太陽光の発電所をさらに3カ所整備する。再生可能エネルギー発電事業部の薮本大輔部長(50)は「クリーンなエネルギーで作る製品によって、企業イメージを向上させられる。脱炭素社会をけん引していきたい」と話す。
