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天使やエデンの園をモチーフにした作品が並ぶ「寺門孝之展」会場=西脇市岡之山美術館
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天使やエデンの園をモチーフにした作品が並ぶ「寺門孝之展」会場=西脇市岡之山美術館
大天使による聖母マリアへの「受胎告知」を下敷きにした作品「LILY PINE PINE(リリー・パイン・パイン)」(2019年)
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大天使による聖母マリアへの「受胎告知」を下敷きにした作品「LILY PINE PINE(リリー・パイン・パイン)」(2019年)
「angels rondo[ローズ]」(1996年)
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「angels rondo[ローズ]」(1996年)
日本グラフィック展大賞を受賞した「潮先」(1985年)。本人いわく「夏の海水浴客たちが去った後の秋の残像」を表現したという
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日本グラフィック展大賞を受賞した「潮先」(1985年)。本人いわく「夏の海水浴客たちが去った後の秋の残像」を表現したという

 パステル調の淡く明るい「天使画」で人気の画家・イラストレーター、寺門孝之(59)の作品展「天国」が兵庫県西脇市岡之山美術館(同市上比延町)で開かれている。1980年代の出世作から本展向けの新作まで約50点を展示。光と闇を見据えた幻想的な絵画の根底には、楽園を希求する「祈り」が込められているようにも思える。(堀井正純)

 寺門は61年、名古屋市生まれの神戸育ち。大阪大工学部に進学したが文学部へ転部し、美学を専攻。卒業後は上京し、ファッション界をリードしたイラストレーター長沢節主宰の私塾「セツ・モードセミナー」で学んだ。現在は神戸と東京を行き来し制作。神戸芸術工科大教授を務める。

 本展は年代別の構成で、第1室に並ぶのは80~90年代の初期作。冒頭を飾るのは、85年に「日本グラフィック展」(日グラ)で5千点以上の応募作から大賞に輝いた「潮先」だ。今の淡く繊細な画風と比べると、意識的に不器用でごつごつとしたタッチで描いた風にもみえる。

 寺門は86年まで働いていた会社でデジタルコンテンツを企画・制作。最先端のコンピューターグラフィックス(CG)の世界にも親しんでおり、会場にはCGで描き、プリントした実験的な作品も並ぶ。

 「日グラ」はパルコが主催し、日比野克彦ら現代美術とイラストレーションを越境するスターを生んだ公募展。寺門もまた、異なるジャンルを結びつけ、跳び越える異才の一人といえるだろう。

 〈僕にとって「絵」はこの世に開く、あの世の窓だ〉。寺門は本展に対し、こんな言葉を寄せる。87年に沖縄で見た「金環日食」に深い感銘を受け、全身がしびれたようになったといい、「異界」「精神世界」への興味関心は早くからあったようだ。

 90年の「天女」など、天使が画面に登場するのもこの頃。93年にアトリエを神戸へ移し、絵画制作が中心の生活に。阪神・淡路大震災も経験した。天使の群れが空を埋める連作「angels rondo(エンジェルズ・ロンド)」は震災後に手掛け、祝祭的な空気に満ちているが、亡き人々への鎮魂画でもある。

 第2、第3室は2000年代以降の作品群。画面には天使のほか、「龍」「七福神」「宝船」などのモチーフが出現。寺門作品は「光」のイメージが強いが、この時期は黒を背景にした怖く美しい「闇の妹」シリーズを発表し、光と対照をなす人間の心の暗闇も探究した。

 キリスト教に基づく「受託告知」や、「エデン」をテーマに夢幻的な世界も表現。にじみを生かした淡くカラフルな画面は甘美で麗しく、時が止まっているかのよう。見入っていると、絵の中に引き込まれ、戻ってこられなくなるような気もする。絵の中のまばゆい「楽園」「天国」をぜひ体験してほしい。

 3月21日まで。月曜休館。300円ほか。同館TEL0795・23・6223

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