新型コロナウイルスの医療体制の逼迫(ひっぱく)に備え、神戸市は2021年度、市内の民間病院などがコロナ患者を受け入れやすくするため、集中治療の専門医らに相談できる遠隔診療システムの導入を拡大する。感染の収束が見通せない中、助言を受けて重症化を見極めるなど、民間病院の診療を充実させ、医療従事者の負担軽減にもつなげる。(横田良平)
市は、専門医らが在籍する医療ベンチャー「T-ICU」(芦屋市)と提携。20年9月から全国の自治体として初めて、集中治療室(ICU)での治療をモニター越しに支援するシステムを導入した。
病院側と専用端末を通じて患者の電子カルテや心拍、呼吸などの情報を共有。テレビ会議で24時間、専門医らから診療の助言を受けられる体制を整えた。神戸市内の民間5病院と市立医療センター中央市民病院(同市中央区)などで活用しており、症例が少ない民間病院には有効という。
重症患者を受け入れる同市民病院では医療体制の危機的状況が続いており、民間病院の治療を充実させ、重症化の可能性が低いのに市民病院に運ばれるケースを抑える狙いもある。
運用期間を今年3月までとしていたが、収束が見通せないため延長と拡大を検討。導入済みの5病院では運用を継続し、新たに5病院で導入を調整する。市は専用端末を導入する初期経費などを負担するため、21年度当初予算案に関連経費1400万円を盛り込む方針。
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