コウノトリの餌となる生き物などが豊富な田んぼをつくる「コウノトリ育む農法」について、兵庫県立大地域資源マネジメント研究科(同県豊岡市祥雲寺)の内藤和明准教授(52)=保全生態学=らの研究チームがこのほど、同農法は一般的な水田よりも動植物の種類が豊富で、生態系の保全に役立っていることを明らかにした。内藤准教授によると、同農法が動植物に及ぼす影響を幅広く調べた研究は初めて。(阿部江利)
同農法はコウノトリの野生復帰の取り組みを後押ししようと2003年、本格的に始まった。一般的な水田が水を抜く冬から春先などにも水を張り、生き物がすみやすい環境にするのが特徴。20年11月時点で但馬の約556ヘクタールの水田で取り組んでいる。
研究チームは豊岡市内の3地区で2014、15年、同農法と一般の水田延べ120枚を対象に、昆虫など生き物9種の量と植物の種類の違いを調査した。
その結果、植物は水田内、あぜとも、同農法の方が種類が豊かだった。生き物は、アシナガグモや水生昆虫のゲンゴロウなどについては同農法の方が豊富に確認できたという。成果を昨年11月、日本生態学会誌に発表した。
内藤准教授は「育む農法の水田はいろいろな生き物が生息できると言われてきたが、その効果を示せた。しかし、田んぼが維持されていること自体に大きな意味があるので、農法を問わず、各地で環境保全の意識が高まってほしい」と期待を込めている。









