宝塚歌劇団雪組トップスター、望海風斗が、本拠地・宝塚大劇場(兵庫県宝塚市栄町1)での退団公演千秋楽の舞台に立ち、これまで18年間、見守ってくれた大劇場に別れを告げた。新型コロナの緊急事態宣言で恒例のパレードは中止。それでもファンを気遣いながら「本当に幸せでした」とあいさつに思いを込め、「ファンとともにある」トップらしい花道を飾った。
2003年、花組に配属。09年には新人初主演となった「太王四神記」で頭角を現した。14年11月に雪組に移り、17年7月に同組トップに就任した。
この日、本公演に続くサヨナラショーは、雪組トップのバトンを渡す彩風咲菜と「ドン・ジュアン」(16年)から「悪の華」を歌うインパクトある幕開け。続いて同時退団の娘役トップ真彩希帆らと歌やダンスを次々、披露した。終盤は圧巻の歌唱力で、その地位を不動のものにした18年の「ファントム」から「Home」を、真彩と熱唱した。
「最後まで男役でいたい」と黒の燕尾服姿で大階段を下りた望海。途切れないファンの拍手で何度もカーテンコールに応じた。
ショー後の会見では「常に客席に支えてもらっていると感じていた」と語り、ファンの前で演じる喜びを改めてかみしめていた。「トップとして前を向いて歩いてきたつもりだが、振り向けば『どうやって個性を出そうか』と頑張っている下級生の姿にも刺激を受ける」といい、さらに進化を目指す決意を見せた。
26日~4月11日、東京宝塚劇場での「『fff-フォルティッシッシモ』~歓喜に歌え~」「シルクロード~盗賊と宝石~」を最後に退団する。(片岡達美)