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フェースシールドをして高齢者を介助する職員。クラスターの発生後に感染防止策を強化した=西宮市、神港園レインボー西宮
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フェースシールドをして高齢者を介助する職員。クラスターの発生後に感染防止策を強化した=西宮市、神港園レインボー西宮

 兵庫県でも、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が相次ぐ介護施設。西宮市の「神港園レインボー西宮」では昨年8月、認知症グループホームの職員5人と利用者6人の計11人の感染が分かり、うち利用者3人が亡くなった。重症化のリスクが高い高齢者をどう守るのか。施設責任者は、感染者と非感染者のゾーン分けや、動き回ってしまう認知症患者に対応する難しさを語った。(佐藤健介)

 クラスターが発生したのは施設3階で、認知症がある70~90代のお年寄り8人が入居。ケアする職員は昨年2月から消毒を心がけ、マスクを着けていた。

 だが、8月1日に夜勤明けの介護職員1人が発熱。5日後にPCR検査で感染が判明した。その後、介護職員4人、個室に入居する利用者6人も陽性となった。

 過去に施設で集団感染が起きた例はなく、「ゾーン分けを想定していなかった」と施設の担当者。エレベーターは感染者が出た3階の専用とし、動線を確保するため、白板などで仕切りを作った。「動線といっても、あり合わせの物で作っただけ。密閉できたわけでない」と明かす。

 1、2階のデイサービスは休業し、3階は保健所の指導でゾーン分けを試みた。入院を待つ感染者と非感染者の居室、リビング、防護服の脱着スペースを透明シートで区切ったが、品薄だった。店を数軒回って調達し、慣れない取り付け作業を強いられた。

 職員は防護服とフェースシールドを着用。普段はリビングに集まり取っていた食事を居室に運ぶなど、接触を最小限に抑えようとした。だが、入居者はその意図が分からず、シートの向こう側まで歩いてしまう。「お部屋に戻りましょうね」。声をかけて優しく手を引き、居室に戻るよう促す。その繰り返しだった。

 デイサービスの職員も応援に入った。家族が感染する不安は絶えず、ある職員は子どもが通う学校で別の保護者に「わが子を休ませたい」と言われたという。

 9月上旬までに、90代女性、80代女性、70代男性の3人が入院先で死亡。9月下旬に感染は収束したが、「自分が感染を広げてしまったのでないか」「亡くなった人にもっと何かできた」と自分を責め、涙する職員もいた。胸中を打ち明ける機会を何度も設け、退職する職員はいなかった。

 今は消毒の知識も深めた。消毒スプレーを直接吹きかければウイルスが飛び散るので、液を紙などに含ませて一方向に拭く。今後は感染時の事業継続計画(BCP)も策定する方針だ。

 施設運営法人「神港園」の高谷育男・業務執行理事は「再び利用者が感染してもすぐに受診できるかが心配。対応レベルを高めたい」と気を引き締める。

     ◇     ◇

■「介護崩壊」強まる危機感/マニュアル共有も

 兵庫県によると、今年に入り、県内では1月だけで介護施設十数カ所でクラスターが確認され、介護現場での感染拡大防止は急務だ。介護関係団体は「介護崩壊は医療崩壊も招く」と危機感を強め、ノウハウの共有も図る。

 厚生労働省は昨年10月、患者発生時の対応を紹介するマニュアルをホームページで公開した。例えば、感染者と濃厚接触した人の食事介助では「むせこみやせき払いに備え、左か右に位置を取る」などと写真も使って解説する。

 また、特別養護老人ホームやデイサービスなど計約1万1千の施設でつくる「全国老人福祉施設協議会」は1月、感染疑いがある入所者に対するケアを動画で伝える。利用者の認知機能が低下している場合は「色テープを張ったり、コーン標識を立てたりして、感染者のいる区域を分かりやすく示す」というポイントを挙げている。(佐藤健介)

【特集】目で見る兵庫県内の感染状況

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