疾病予防につながる料理の連載「医師おすすめ! お手軽健康レシピ」では、今月から4回にわたり、「脂質異常症」をテーマに取り上げます。いずれも神戸学院大学栄養学部の協力を得ました。初回は山芋や豆を使った「まめまめグラタン」のレシピを紹介し、同学部教授の医師に脂質異常症の基礎知識を教えてもらいます。(記事・井川朋宏、写真・後藤亮平)
〈材料(2人分)〉
山芋 70グラム
粉末だし 2グラム
鶏むねひき肉 35グラム
ミックスビーンズ 1/2パック(60グラム)
絹ごし豆腐 1/4丁
赤みそ、砂糖、酒 各小さじ1(5グラム)
乾燥パセリ 適宜
油 3グラム
〈つくりかた〉
1 山芋の皮を包丁でむき、おろし金ですりおろし、粉末だしを加えてよく混ぜる。
2 赤みそ、砂糖、酒を混ぜ、みそだれをつくる。
3 片手鍋(またはフライパン)で鶏むねひき肉を軽く炒め、みそだれを加えてしっかりと火が通るまで加熱する。必要時は適宜油を使う。
4 絹ごし豆腐を厚さ1センチ程度に切り、キッチンペーパーで包んで耐熱皿に載せる。ミックスビーンズも耐熱容器に入れてラップする。いずれも電子レンジ(500ワット)で1分30秒加熱する。
5 グラタン皿に豆腐を敷き詰めるように並べ、その上にミックスビーンズと鶏むねひき肉を盛り付け、具材が隠れるように、粉末だしと混ぜた山芋を流し入れる。
6 オーブントースター(千ワット)で6、7分程度、山芋に火が通るまで加熱する。
7 乾燥パセリを盛り付ける。
■心筋梗塞や脳卒中のリスクに 藤岡由夫・神戸学院大教授
血液中の脂質にはコレステロールや中性脂肪などがあり、これらが異常値を示す状態が「脂質異常症」です。動脈硬化を起こす危険因子であり、心筋梗塞や脳卒中などにつながる恐れがあります。
脂質異常症の診断基準には4種類の項目があります。基準値はそれぞれ、LDL(悪玉)コレステロール=血清1デシリットル当たり140ミリグラム以上(境界域120ミリグラム以上)▽HDL(善玉)コレステロール=同40ミリグラム未満▽トリグリセリド(中性脂肪)=同150ミリグラム以上-となります。一般的な健康診断では主にこの3種類が示され、空腹時の採血を条件とします。
コレステロールのうち、悪玉は多すぎ、善玉は少なすぎると、それぞれ問題になります。もう一つの基準に、善玉以外の全てのコレステロールを指す「Non-HDLコレステロール」があります。異常値は同170ミリグラム以上(境界域150ミリグラム以上)です。食後に採血したり、中性脂肪の高かったりする人は、この数値を参考にしてください。
いずれも基準を満たさなければセーフというわけではなく、近い数値であれば改善した方がいいでしょう。また、本人に高血圧や糖尿病、喫煙習慣などがあれば、リスクは高まります。
初期の脂質異常症は、自覚症状が乏しい点にも注意が必要です。患者の皆さんには、血圧が高いならまず脳卒中を、コレステロールが異常ならまず心筋梗塞を、それぞれ気を付けるよう呼び掛けています。
◇協力 神戸学院大学栄養学部管理栄養士=中川輪央さん、山口さや香さん▽同学部生=松井優佳さん、谷川友花さん